米国の相殺戦略、日本の相殺戦略


政策提言委員・元空自航空教育集団司令官  小野田 治

1 はじめに

 2014年11月、チャック・ヘーゲル米国防長官は、「国防イノベーション・イニシアティブ」(以下「DII」という。)と題する文書を発簡した。文書の冒頭で、「戦争遂行のカギとなる領域における米国の優位が侵されつつあり、我々は限られた資源で現在の優位を維持拡大する新たな創造的手段を発見する必要がある。」とし、「国防省すべてにわたる仕事を改善し、21世紀におけるわが軍の優越性を革新的な方法で維持・進化させるために、省を挙げたイニシアティブを設立する。」と述べている。さらに、「この21世紀の挑戦については歴史が教訓を示している。米国は1970年代および80年代に通常戦力によるネットワーク化された精密攻撃、ステルス、監視手段を開発して安全保障環境を変化させた。今次の取り組みは、将来における米国の戦力投射に関する優位性を強化する第3次相殺(オフセット)戦略と呼ぶことになるだろう。」と述べた。

 相殺戦略のそもそもの起こりは、冷戦当初の1950年代に欧州正面でのソ連の圧倒的な通常戦力に対して、ニュールック戦略と呼ばれる核戦力による大量報復によってソ連の抑止を図ったことである。次いでソ連が核兵器の近代化を進め、核兵器が使われることのない兵器になるとともに、ベトナム戦争後に米国防予算が大幅に減額されたことに伴って、再び欧州正面のソ連通常戦力の脅威が高まることになった。そこで通常戦力の量で勝るソ連に対して、巡航ミサイルやステルス航空機といった突破力の高い運搬手段、作戦遂行のテンポを倍加する情報通信ネットワーク、殺傷性と命中精度を飛躍的に高めた精密攻撃兵器を組み合わせ、戦力投射能力を最大化してソ連の通常戦力の抑止を図ったのが第2次相殺戦略であった。その中心的な装備は、その後長期間にわたって発展拡大し、様々な装備がネットワークの下に統合され、迅速かつ多様な精密打撃を行う能力が実現されている。

 一方で、核弾頭搭載能力を保有する国はP5に加えてインド、パキスタン、北朝鮮へと拡大し、弾道ミサイルや巡航ミサイルなどの技術は世界中に拡散している。ミサイル発射手段は、地上固定型から車両移動型へと機動性と残存性を増し、水中から発射する技術を有する国も増加している。ミサイルの射程は延び、速度は高速化し、命中精度は向上している。また、宇宙空間を含む情報収集・監視・偵察(ISR)手段の多様化、正確性の向上、インターネット技術を用いた軽易なネットワークの構築或いはネットワークに対する攻撃や情報の窃取などによって、米国の競争相手の接近拒否/領域拒否(A2/AD)能力は飛躍的に向上している。米国が誇る空母機動部隊が撃沈される恐れすら今や現実のものとなりつつある。さらに厄介なことに、こうした手段を取り得るのが国家だとはかぎらず、テロリストや国際犯罪組織がこの種の手段を掌中にして冒険的な行動に出るリスクも高まっている。

 本論は、米国のこうした第3次相殺戦略という新たな取り組みを概観し、今後の行方を分析するとともに、わが国への影響及びわが国がなすべきことについて考察するものである。


2 第3次相殺戦略の概要

 DIIは、国防総省の全組織、機能及び政策に及ぶもので、以下の事項についてイノベーションを加速する必要があるとしている。

 @リーダーや管理者を育成、開発するための統合的方策

 A新たな長期的基礎研究を通じた技術的、制度的なブレイク・スルーの実現

 B周到なウォーゲームを通じた将来の安全保障環境下における戦略目的達成手段の開発

 C新たな脅威に対して少ない資源でより大きな戦略的効果を得る革新的運用構想の開発

 その目的とするところは、出現する新たな脅威、急追する競争相手に対して、有効かつ効果的に対処する手段を開発するとともに、競争相手を引き離し優位な立場を強化することにある。焦点となる脅威とは、競争相手のA2/AD能力、即ち、米軍の全地球的な戦力投射能力を減殺するとともに、米軍の行動の自由を奪おうとする一連の能力である。A2/ADは、ISR、ネットワーク、指揮統制、電子戦、サイバーなど、様々な機能を陸、海、空、宇宙、サイバーの5つの作戦領域すべてにわたって駆使して米軍の接近を拒否し、米軍の活動を弱体化させるものである。A2/ADによって、地域に前方展開する米軍は高い脅威下に置かれることになる。地上を移動する大部隊や洋上の空母機動部隊などは容易に発見追尾され、ステルス性に乏しい航空機は撃墜されるリスクが高まる。さらに米軍が独占的に活用していた宇宙は、既に米国の聖域ではなくなりつつある。

 こうした挑戦に対して米国は、第1に競争相手のA2/AD環境下における行動の自由を確保するため、@自己防御能力を最大化すること、A相手に探知されないステルス性を確保すること、B相手方の拒否能力に対する突破力を確保することが必要である。第2に相手方のA2/AD範囲外から戦力投射を可能にする能力を整備すること、第3に相手方の長距離戦力投射を拒否する能力を整備すること、第4に新たな作戦領域であるサイバー空間や宇宙空間における相手方のネットワーク攻撃やその他のインフラ攻撃に対する防御能力及び相手に対する攻撃能力を整備することが必要である。こうした方策を展開していくに当たっては、競争相手の戦力に対して同種の戦力で対抗するのでなく、米国が優越する分野、手段を組み合わせ、拒否的な手段と懲罰的な手段[1]を駆使して競争相手により大きなコストを賦課することが必要である。さらに予算や資源の制約から、既存の装備品を活用してハイ・ロー・ミックスで必要な効果を上げることが求められる。さらに、脅威下にある地表或いは宇宙のアセットの分散、防護強化、代替手段の確保を図ること、初度探知から攻撃に至るプロセス時間を短縮化すること、世界各地で同時に発生する事象に的確に対応することなどが求められるだろう。こうした要求に資する有望な技術や装備が今後次々に開発されてくると期待される。そのために必要なことは、技術開発から装備化に至るプロセスを効率化することであり、革新的な装備を活用して革新的な運用構想を生むことである。

 相殺戦略の主唱者である米戦略予算評価センター(CSBA)のロバート・マーティネージ氏は、米軍が優位性を追求する作戦分野として、無人作戦、長距離航空作戦、ステルス航空作戦、水中戦を挙げるとともに、個々のシステムを統合してシステム・オブ・システムズとして機能させること、グローバルなネットワークを構築することが必要だとしている[2]。また、国防長官からDIIの責任者として指名されたボブ・ワーク次官は、「米国は現時点において、ISR機能以外は未だ優位な状態にあるが、ISRに関するリスクは拡大しており何が起こるかわからない不透明さが増している」と語っている。同次官は、DIIの有望な投資先として、核、宇宙、センサー、通信、弾薬、ミサイル防衛、サイバーの分野を列挙し、水中無人機(UUV)、機雷、高速打撃兵器、エンジンやその他の先進航空力学に基づく装備、電磁レール・ガン、高エネルギー・レーザー、高出力マイクロ波ミサイルなどが有望だとしている。また、「科学技術分野での優位性確保、新型兵器開発が全てではない。リーダーシップ、作戦運用などもDIIの主たる対象であり、特に同盟国との間で演習やウォーゲームを通じて新たなコンセプトを開発することがイノベーションを生むことになる」と述べている[3]

 革新的装備の一つである無人機の起源は第2次世界大戦に遡るが、高性能な無人機が実戦で重要な役割を果たしたのはアフガニスタンが最初である。当初ISR用として投入されたが山岳地帯を小部隊で移動するタリバンを発見しても攻撃機が現地に到着する頃には目標が消失してしまうという事例が頻発した。そこでRQ−1プレデターという無人機にヘルファイア・ミサイルを装備し、目標を発見したら直ちに攻撃できるように改良して大きな成果を上げた。筆者が2002年に訪米した際、ジャンパー米空軍参謀総長は、”Sensor to shooter in single digit minutes !”(「センサーが探知してから10分未満で攻撃する」)のだと胸を張って語った。無人機をISR+攻撃機として使用する今日の運用構想はアフガニスタンで生まれたものである。さらに、現れては消える目標に対して、航続時間の長いB−52爆撃機にGPS誘導爆弾を多数搭載して上空を飛行させておき、地上の特殊部隊や無人機などからの目標探知情報を受けて直ちに爆弾を投下するという運用方法も効果を挙げた。この作戦が今日のイスラム国に対する航空攻撃に生かされており、後述する「アーセナル・プレーン(武器庫航空機)」の構想にも結びついている。長期間を経て革新的な装備が実戦や演習を通じて革新的な作戦を生むのである。


3 2017年度予算案に見る第3次相殺戦略の現状と方向性

 国防総省の2017年度予算案では、第3次相殺戦略関連として、中国の長距離攻撃に対抗する米海軍の先進的兵器に30億ドル、潜水システムの向上に30億ドル、ヒューマン・マシン・チーム及び小型無人機の「群れ」による作戦に30億ドル、人工知能を用いたサイバー及び電子戦システムに17億ドル、その他の新たなコンセプトに関するウォーゲームや試験に5千万ドルなどが計上されている。個々の事業を現段階で評価することは困難だが、本質的には米軍がいつでもどこでもユビキタスに精密兵器を運用し得ること、脅威圏内で行動する空母機動部隊などの貴重なアセットを相手方のA2/AD手段から防護することがその中心に置かれていると見られる。国防省の発表によれば、量的な観点から、精密誘導兵器の備蓄量増加に5億ドルが計上されているほか、バージニア級潜水艦の攻撃モジュール(VPM)を12発から40発に増加するとされている。質的側面では、SM−6艦対空ミサイルやトマホーク巡航ミサイルを対艦ミサイルとしても使用できるよう改良する事業が計上されている。これらを対艦攻撃にも使用可能にすることによって、水上艦艇の垂直発射システム(VLS)に収納しているミサイル弾数をより柔軟に運用できることになる。また、「アーセナル・プレーン」と称するプラットフォームから多数の誘導爆弾、ミサイルや超小型無人機などを発射することが考えられている。超小型無人機は戦闘機のフレア用の収納容器に格納して射出し、空中で翼を開いてプロペラで自律飛行し、無人機間で相互認識して「群れ」を形成するものである。2014年から試験が続けられており、昨年のノーザン・エッジ演習では150回の試験を行ったとされている。これにマイクロ波妨害装置を搭載して鳥の群れのように飛ばし、敵のセンサーを無力化することに活用する構想である。マン・マシン・チームの作戦とは、例えばF−16無人機編隊を有人の第5世代機であるF―35やF−22がコントロールして、地対空ミサイルなど、敵の高い脅威下で攻撃を遂行するような作戦をいう。海軍では、敵の脅威下にある目標に対してより遠方から戦力投射を行うために、空母からステルス攻撃機或いは無人攻撃機と無人給油機を組み合わせて運用することが研究されている。昨年海軍は、空母搭載型の無人ステルス攻撃機(UCAS)の運用実験を成功裏に完了したが、装備化の行方はいまだ検討中である。UCASよりも無人給油機を優先して整備するという報道もある[4]。相手に発見されやすく攻撃されやすい水上艦や地上部隊などの地表面上の戦力の脆弱性を補完する観点から、水中を航行する無人機の研究が進行しており、様々な形態のものが開発されつつある。水中無人機が持つ隠密性と突破力は、ステルス機と同様に将来のゲームのルールを変える立役者になるかもしれない。陸上兵力の装備については、国防高等研究計画局(DARPA)が開発試験中の12.7mm誘導弾[5]やレイセオン社のPIKE小型誘導ミサイル[6]などは、兵士がグレネード・ランチャーで使用できる可能性があり、攻撃力に革新をもたらす可能性がある。一方、ロボットの殺傷用兵器としての活用についてワーク国防次官は、ロボットが知能を持ち殺傷能力を持つのは危険だと述べている[7]。DARPAでは様々な遺伝子操作の研究がなされており、将来的には超人ハルクのような兵士が活躍する世界になるかもしれない。

 予算案にはエネルギー指向兵器も含まれている。戦闘機や地対空ミサイルで対処することが困難なほどの多数の敵ミサイルの飽和的な攻撃から防衛する手段として、レーザー兵器や電磁レール・ガンなどが既に実地試験段階にあり、早期の装備化が期待されている。また、敵のネットワークやISRを無力化する手段として、強力なマイクロ波を発射する手段や、人工知能を使ってリアルタイムに相手の周波数特性に適合する電子妨害を行うといったソフト・キル手段の開発も注目を集めており、今後大いに開発が進むことになるだろう。


4 相殺戦略の真の狙い

 相殺戦略の担い手として有望な装備技術の一端を紹介してきたが、相殺戦略の目的は革新的な装備を開発することだけではない。革新的な装備や技術を活用して競争相手が対応不可能な作戦構想を開発し、或いは開発から取得調達に至るプロセスを革新し、或いは組織の機能、編成を一新し、戦争、戦闘の概念を変革して競争相手の追随を困難にし、或いは競争相手に大きなコストを強いることが真の狙いである。この点でDIIは未だ十分な成果を上げておらず、さらなる時間が必要である。第3次相殺戦略の行方を掘り下げるために、第1次、第2次相殺戦略を振り返り今日に至る教訓とは何かについて考えてみたい。

 第1に、直面する脅威によって発現する可能性のあるあらゆる事態に対処可能なバランスの取れた戦略が必要だということである。ニュールック戦略の根拠文書であるNSC162/2には、核兵器による大量報復戦略だけでなく、同盟諸国とともに必要な態勢を準備して脅威の通常戦力使用を抑止し、抑止が敗れた際には迅速的確に対処する準備が必要であり、核戦力はその後ろ盾であると記載されている。即ち、こちら側に戦略的な弱点があれば競争相手は必ずそこを突いてこちら側の優位を相殺しようとするということである。第2に、地球上のあらゆる目標に対して多様な戦力投射を行う能力は、敵の防衛計画を複雑なものにし、我の戦略的行動の自由を確保することに貢献するということである。米国の核攻撃手段の「3本の矢」ともいうべきICBM、戦略爆撃機、戦略原潜というトライアドは核抑止の信頼性確保のために不可欠だと考えられている。敵のA2/ADに対して、その到達範囲外から攻撃を可能にする能力を持つことが米国の強みである。第3には、脅威に対して非対称な手段や革新的な方法でいつでもどこに対しても打撃を加えることのできる能力が抑止の信頼性を高めるということである。戦車には戦車で、艦船には艦船で対抗するより、自らの長所を相手の弱点に指向する作戦構想が必要だということである。今日の米軍の運用構想では、陸、海、空、サイバー、宇宙という5つの作戦領域のうち、米軍の優越な分野で敵を圧倒し他分野の作戦を有利に展開するとしている。第4に、他国との同盟関係やパートナーシップが敵の作戦計画策定を複雑にするとともに競争相手に高いコストを強要するということである。欧州、中東、そしてアジアにおいて米国が指向しているのはより強固な同盟・パートナー関係であり、情報の共有と密接な共同作戦である。また同盟国等に展開する前方展開戦力が、脅威に迅速かつ適切に対処するために益々重要な意味を持つ。

 これらの教訓は、相殺戦略を理解し同盟国として如何にあるべきかを考えるうえで大いに示唆を与えてくれるものである。一方で競争相手もこうした教訓をよく研究し活用している。硫黄島、ベトナム戦争、アフガニスタンなどでは米軍の近代的かつ圧倒的な火力に対して非対称な戦い方、即ち地中に潜ってゲリラ戦を展開し米軍を苦しめた。今日では地中ではなく、大衆に紛れ、或いはサイバー空間に紛れて戦うテロリストやタリバン、イスラム国に長期戦を強いられ、米国は高いコストを強要されている。非対称の戦いへの対処は困難が伴うことを米軍自身が身をもって示しているといえよう。

 中国は米国の空母機動部隊の戦力投射能力に対して、精密誘導の対艦ミサイルを活用したA2/ADという作戦構想を開発した。米ロが、射程500kmから5,500kmの核及び通常弾頭の地上発射型の弾道ミサイル及び巡航ミサイルを全て禁止する中距離核戦力全廃条約(INF条約)を締結し、いわゆる戦術核運搬手段に大きな制約を有している点に着目した非対称の戦略構想である。A2/ADの目標は艦艇にとどまらない。我が国に前方展開している米軍及び自衛隊の戦力はミサイル攻撃には極めて脆弱である。ミサイル攻撃に対して選択可能な反撃手段は、海上・海中発射のトマホーク巡航ミサイルによる攻撃か、長距離爆撃機や戦闘機による攻撃のみであり、取り得る選択肢は限定的にならざるを得ない。低高度を飛行する亜音速のトマホークもステルス攻撃機も突破力は高いものの被撃墜リスクは存在する。我が国に至っては、米軍のこうした攻撃手段に依存する以外、独力による反撃手段は皆無である。

 一方で、競争相手にとって活用が難しいと思われる教訓は、先端テクノロジーによる優越性の獲得と、同盟及びパートナー国との連携だろう。とはいえテクノロジーについては、例えば通信・情報処理技術の汎用化が進み、インターネット情報で爆弾や核及び化学兵器などが軽易に製造できる現代では、テクノロジーの拡散、アプリケーションの多様化など、非対称性が進展しつつある。さらに敵のサイバー攻撃によるネットワークやインフラの無力化、情報窃取など、テクノロジーの保全は難しくなっている。ロシアがシリアやウクライナで発揮した航空攻撃、巡航ミサイル攻撃、電子戦、サイバー攻撃などの技術レベルは非常に優秀だと評価されており、果たして米国がテクノロジーの優越を維持できるのかという不安は消えない。

 同盟及びパートナー関係の緊密化については、ロシア、中国、イラン、北朝鮮などといった競争相手に対して、米国を中心とする同盟及びパートナーは数多く、相対的に強力であるとは言えよう。しかしながら、米国国力の相対的な衰退、各国の財政難の下で、同じ価値観を共有し、利害を調整して共同歩調を歩むのは簡単なことではない。特に中国は、強力な経済力を背景にして軍事力以外の手段でアジア、欧州諸国の団結を切り崩しにかかっている。


5 競争相手の猛追に間に合うか

 現在の米国の努力は、国防予算の大幅な縮減によって研究開発・装備化事業のペース・ダウンや取捨選択に直面している。とはいえ、世界最大の国防予算を投じている米国が、遅からず一定の成果を上げるであろうことは間違いない。問題は競争相手の技術的、予算的な猛追を突き放すことができるのかどうかであり、我が国もその結果に大きな影響を受けることになるだろう。

 現在そして将来における米国の最大の競争相手の一つである中国は、既に米機動部隊を海中に葬る対艦ミサイル攻撃能力を保有しており、攻撃に必要なISR能力やネットワークの整備も進んでいる。米国の宇宙における能力を無力化し、インターネットを介して米国のインフラに混乱と破壊をもたらす能力をも既に保有していると見られる。中国がA2/ADに注力し始めたのは、1996年の台湾海峡危機の際に米空母2隻による軍事的圧力に屈したことに始まるとされているが、それ以前、1982年に劉華清海軍司令員が、沿岸防衛から近海防衛、そして遠海防衛へと海軍を発展させていく中長期計画を策定していた。台湾海峡危機翌年の1997年に中国は国防の範囲に海洋権益の維持を明記した国防法を施行し、今日、南シナ海は歴史的に自らの支配下にあったとして国際法を無視して南シナ海の過半を含む広大な海域を自国領域とする一方的な主張を繰り広げている。関係国や周辺諸国の懸念と反発を顧みることなく、同海域での人工島建設と基地化を急ぐ背景には、米国の圧力を拒否する軍事的能力を持ったことが大きい。もはや世界の警察官ではないと宣言したオバマ政権が強い行動に出ることはできないと見ていること、さらには米国が中国のA2/ADに対抗する手段を整備する前に既成事実を拡大しようとしていると見られる。一部の安全保障専門家は、有事になれば人工島の軍事基地など米軍戦力の前にはひとたまりもない脆弱な存在であるという。しかし、中国は米国と戦火を交えることを避けつつ、既成事実を次々に構築し南シナ海を聖域化することを狙っており、これまでのところ、その狙いは着実に成果を上げている。状況は異なるが、同様のことは東シナ海でも起きている。尖閣諸島領海を侵犯する中国海警の活動は常態化しているし、日中中間線付近のガス田は着実に数を増し、既成事実は拡大している。国際法を無視してでも自国の利益を追求することが中国の行動パターンであることは歴史が証明しており、機を窺って東シナ海で何かを起こすのは時間の問題ではないかと考える。


6 我が国がなすべきこと

 今から70余年前、敗戦国となった我が国は、戦勝国であり潜在的な脅威国であるソ連と単独で対峙する立場に立てるはずもなく、戦後まもなく始まった東西冷戦下、同盟となった米国の実質的な庇護の下で安全保障を維持してきた。そこには仮想敵国を対象とする相殺戦略や競争戦略という考えは存在せず、周辺諸国に脅威を与えることなく米国との同盟関係をいかに維持していくかが政策の中心課題であった。アジア地域を舞台にした朝鮮戦争とベトナム戦争において米国は圧倒的な軍事力を発揮したが、我が国は最小限の非軍事面の後方支援を行ったのみであった。米国に次いで国民総生産(GNP)が2位となった1968年以降においても、専守防衛、非核3原則、武器輸出3原則などの内向きの安全保障政策に変更が加えられることはなかった。1991年、ソ連が崩壊して以降、欧州、中東を中心に各国の政権崩壊、宗教及び民族間の対立が顕著となり、今日では国家が再編され或いは無政府状態に陥り、イスラム国のような非国家主体やテロリズムが拡大している。そのような中で我が国は経済的な貢献に留まらない応分の負担を求められ、1991年にはペルシャ湾への掃海艇派遣、1992年には、いわゆるPKO協力法が制定されてカンボジアに自衛隊が派遣された。以降、自衛隊の国際貢献活動は逐次拡大され、我が国の安全保障政策の柱の一つと位置づけられるようになった。一方で我が国自身の防衛に関する政策は、中国経済及び軍事力の強大化や日本海周辺での強圧的行動の顕在化、北朝鮮の核兵器、弾道ミサイル開発進展を前にして、2013年12月になってようやく、安全保障戦略が初めて策定された。2014年4月には武器輸出3原則が改められ他国との共同開発や武器輸出に道が開かれた、7月には集団的自衛権の限定的行使容認を含む平和安全保障法制の策定について閣議決定がなされた。そして昨年、一連の平和安全法制が成立するとともに、日米防衛協力のためのガイドラインが抜本的に改定され、本年3月、平和安全法制が施行されるに至った。

 安倍政権による一連の安全保障政策は、我が国の弱点を克服し競争相手の付け入る隙を小さくする重要な相殺戦略である。一方、安倍政権がどんなに頑張っても日中の経済力、軍事力の格差は益々拡大し、北朝鮮が核兵器の小型化を実現し、より遠方に投射する能力を手にするのは時間の問題となりつつある。プーチンのロシアは、拡大するNATOに対して軍事的に対抗する姿勢を明らかにしており、軍事力、特に核戦力の近代化に力を入れている。また米国にとって、混沌の中にある中東から手を引くことは更なる混沌を招くことになりかねず、当面は軍事的関与を続けざるを得ないだろう。こうした状況下で同盟国である米国の圧倒的な政治力、経済力が今後も発揮されるだろうと楽観視することはできない。ロシア、中国、北朝鮮の強圧的行動を抑止するため、我が国は同盟国などと連携して地域のパワー・バランスを再調整することが必要である。この際に重要なことは、我が国がロシア、中国、北朝鮮といった競争相手の強圧的な行動に対して、軍事力を例外化することなく軍事的な手段を含めた総合的な方策で対処していくのだという認識を新たにすることである。現下の競争相手の軍事的な優位性は、核攻撃能力とA2/AD能力である。米国と日本の違いは、ロシア及び中国の核兵器の脅威を除けば米国本土は聖域であるが、我が国は全域が脅威下に置かれていることである。

 我が国がA2/ADを克服するために第1に必要なことは、ミサイル攻撃の脅威からインフラや装備等の保全を図ることである。飛来する航空機やミサイルを迎撃する能力を高めることは重要だが、弾道ミサイル防衛能力を支えるイージス艦とペトリオットのみでは量的に飽和的な攻撃に対処できない。多数のミサイルや航空機などによる集中的、波状的攻撃から被害を局限する方策を取る必要がある、装備等を分散すること、代替の運用拠点を確保すること、分散、機動が困難なインフラには十分な防護措置を講ずること、分散した状態から迅速に戦力を発揮する体制を整えることなど、強靭な態勢を築くことが必要である。米国が相殺戦略の一環として開発中のエネルギー指向兵器や、革新的な電子妨害用の装備などの装備化が待たれるところだが、その前に重要機能の分散防護などを考える必要がある。日米防衛協力のガイドラインでは自衛隊と米軍基地の相互利用が挙げられている。わが国にはそれ以外に100を越える港湾と約70に及ぶ空港があり、これらを分散、機動、代替運用施設として活用できるよう、必要な法制やインフラを整備することが必要である。この他にも発電所、燃料貯蔵施設や弾薬保管施設、装備品等の製造施設などのインフラの保全も不可欠である。我が国政府は災害に強い国づくりを標榜しているが、その施策に併せて処置できる事項も多いと考えられる。障害となるのは、いわゆる縦割り行政、各省庁の所管の壁である。我が国は東日本大震災という未曽有の災害から迅速に復興を図るために省庁横断的な観点から全体を管理する復興庁を設立した。安全保障の観点からはNSCが省庁の壁を越えて総合的な観点から方策を検討することが望まれる。台湾では戦闘機が離発着できるように高速道路が整備されている。

 第2には、米国のDIIの取り組みに我が国の科学技術力を活用することができないかという点である。とはいえ、米国の2017年度国防総省研究開発予算案は約700億ドル、1ドル110円のレートで7兆7千億円であるのに対して、我が国防衛省の2016年度研究開発費は約1,200億円に過ぎない。単純比較で64倍、米の研究開発予算だけで我が国防衛費全体の2倍近い。安全保障関係の研究開発投資には格段の差があるが、日本の強みは民間の技術力である。この際に科学技術は国に富をもたらす重要な手段であることから、日米双方にとってWIN―WINとなるような方策が必要である。一方的な技術流出、富の流出にならぬよう、新たな防衛装備3原則の下で、政府も関与して日米企業によるジョイント・ベンチャーを構築していくことが有望である。日米が現在行っている弾道ミサイル防衛用のミサイルの共同開発は、防衛省の下で民間企業の力も活用して行われているが、さらに広範な分野で、日本の競争力向上を狙いつつ、産官学の力を結集する必要がある。最近話題になっている豪州の潜水艦調達に際して、日米豪が協力できる体制ができれば画期的なブレイク・スルーになると期待されたが残念ながら仏企業が選定された。欧米や豪州の報道では、日本が負けた要因の一つとして海外軍事市場における日本の経験不足を指摘する声が多く見られた。

 日本政府による産業競争力の強化に関する実行計画(2015年版)[8]には、「産学官の垣根を越えた人材結集・循環の場(イノベーションハブ)の形成に向けた取組を推進する。また、世界最先端の産学官集積地を生み出していく。」と、イノベーション推進の取り組みについて述べられている。重点分野として、ロボット分野、ビッグ・データ活用などのIT分野、宇宙インフラとその活用、サイバー・セキュリティなどに言及されており、いずれの分野も米国防総省のイノベーション重点分野と重なっている。また、日米防衛協力のためのガイドラインには、日米間の防衛技術・装備協力として、装備品の共同研究、開発、生産、試験評価並びに共通装備品の構成品及び役務の相互提供において協力すること、効率的な取得、相互運用性及び防衛装備・技術協力を強化するための互恵的な防衛調達を促進することなどが述べられている[9]。米国では国防総省がイノベーションに果たす役割が巨大だが、日本でも防衛分野については新編された防衛装備庁が中心となることが期待される。

 第3に必要なことは、前述の教訓でも述べたが、日米及びパートナー国を交えた共同のウォーゲームやシミュレーションを通じて相互の認識を深め、作戦運用、装備・技術に関する画期的なアイデアを生む協力態勢を構築することである。特にアジア地域は、競争相手の中国を正面とし、米国から見れば地球の裏側に近い。米軍の戦略や運用構想には「Tyranny of distance(距離の暴政)」という言葉がよく登場する。遠距離を克服して迅速な攻撃を可能にすることが米軍の大きな課題の一つであり、アジア地域を舞台に様々なシナリオを検討し、共同対処を研究していくことは双方にとって必要不可欠である。イノベーションを起こすためには、米軍と自衛隊のみのゲームでは不十分である。政府全体、産学、NGOなどを含めたものに拡大していくことが必要だと思う。また、「憲法9条の枠は越えてはならない」というような前提を設けていては革新的なアイデアは生まれないことも付言しておきたい。

 第4には、専守防衛という基本政策の解釈を拡大し、敵地攻撃能力の整備を検討することが必要である。米国は脅威圏外からA2/ADを突破する戦略を取り得るが、我が国が取り得る選択肢は、脅威の戦力投射を迎撃し、戦力の保全を図り、脅威に対して反撃を加えて敵戦力の減殺を図ることである。しかしながら、我が国は憲法上の制約として、敵地攻撃は真に我が国の存亡がかかり他に手段がない場合にのみ許されるとしており、懲罰的な手段としての攻撃力保有は実質的に放棄して米軍に依存している。北朝鮮のミサイル攻撃能力が現実的な脅威となり、中国の短中距離ミサイル攻撃能力が精密化を増す中で、非常に高価な弾道ミサイル防衛という拒否的な手段のみを自らの役割とする戦略で我が国の防衛は万全だと言えるのだろうか。競争相手が、経済力及び軍事力で米国を猛烈に追い上げ、国際法を無視して一方的な行動をとり、狡猾に駆け引きを演じて米国の行動を抑制し、軍事的にはA2/ADによって拒否能力を増していることを踏まえれば、一朝事ある際に頼みの米軍が直ちには機能しないかもしれないことを考慮に入れておく必要がある。米国と協力しつつも独自性の高い懲罰的な手段を我が国も追求することが必要だと考える。それはロシア、中国のA2/ADを突破し得るミサイル攻撃能力であり、それを可能にするISR能力や指揮統制能力である。防衛省がこれまでに開発した対地及び対艦ミサイルの最大射程は100〜200km程度であるが、これを1,000kmの単位に改良する必要がある。敵の防空網を突破するためには、低空を巡航する、或いは超音速で飛翔する運搬手段が必要である。高度なネットワーク能力を持つステルス機であるF−35の活用も選択肢の一つだが、40機程度の機数では不十分であるし、増強にするにしても莫大な予算が必要である。この点、ミサイルは航空機のように繰り返しの使用は困難だが、攻撃手段としては相対的に安価である。北朝鮮が核搭載の長距離ミサイルにこだわるのは、米国に対する拒否的な手段の整備が技術的にも予算的にも不可能であり、米本土に届く核ミサイルが最も費用対効果が高いと考えているからである。中国のA2/AD能力開発も同様であり、これまでミサイル開発を優先してきた理由もこの点にあると考えられる。我が国は、現在の弾道ミサイル防衛の整備を継続しつつも、攻撃手段となる中距離ミサイル開発に予算を投じて戦略的な見地からバランスの取れた抑止力を強化して競争相手の優位を相殺することが必要であると考える。


7 終わりに

 2012年、オバマ大統領は米国の製造業に革新をもたらし、世界をリードする競争力を実現することを目的とする産官学のネットワークを作ることを発表した。2014年には分野別に設立した産官学コンソーシアムに国家予算を支出することを認める法律を制定した。2016年4月1日現在で、既に8つのコンソーシアムが立ち上げられている[10]。これらのコンソーシアムは国家予算、参加企業や機関等からの出資、その他の民間からの投資によって運営され、司令塔となる企業や大学を中心にネットワーク化されている。コンソーシアム編成には国防総省が主導的な役割を担っている。さらに、こうした動きの他に、カーター国防長官はシリコン・バレーに「試験的国防イノベーション・ユニット(DIUx)」と称する事務所を設置して産官の協力態勢を強化しようとしている。米国の強さは、DIIのように国を挙げた取り組みを構想し企画実行していくこと、組織や専門分野の垣根を越えてネットワークを形成して革新を生みだす柔軟性にある。我が国も各省庁が産官学連携に取り組んでいるが、米国との決定的な違いは安全保障分野に関する認識と投資努力が希薄なことである。米政府の研究開発予算の約50%は国防総省が管理しているが[11]、日本の防衛省の研究開発予算は政府全体の科学技術予算の4%程度に過ぎない[12]。米国は国防用と民生用が一体的に考えられているのに対して、日本では国防用を考えているのは防衛省と防衛産業のみである。この結果、日本が得意な分野は、ITや通信ネットワークのように民生用として発展したものを国防用としても適用する両用技術か、レーダーや航空機システム、ミサイル、誘導技術のように米国からのライセンス契約で得た技術を発展させたものとなっている。F−35やグローバル・ホークなどのように、米国の革新的装備の導入によって米国への依存が増していく今日の状況では、いずれ我が国の防衛生産・技術基盤が危殆に瀕することは明らかである。そうなれば中国やロシアとの格差が益々拡大することになり、それは我が国周辺地域に力の空白が生じることを意味する。外国の装備を導入しつつも、我が国独自の研究開発、国際共同開発、ジョイント・ベンチャーなどについて国を挙げて推進していくことが必要である。特に米国だけでなく、英、仏などとの共同開発を模索することは重要であり、実戦経験に富むイスラエルとの協力なども考慮に値すると考える。

 先般の平和安全法制に関する国会での議論や報道を見聞すると、「戦争法案」、「徴兵制復活」、「憲法違反」という本質を外れた言葉が飛び交い、世界や地域の安全保障環境や我が国が果たすべき役割などに関する議論は盛り上がらない。我が国の経済、国民の暮らしが海上交通路に大きく依存していることなどまるで忘れ去られているようにすら見える。我が国を取り巻くこれまでの安全保障環境は、米国の圧倒的なパワーを中心に、同盟と言いながら我が国の役割は内向きで大きな問題はなかった。しかしながら北朝鮮が益々挑発的な行動をとり、中国がパワー・アップして強圧的な行動を躊躇しない今日、日本は政治・外交・安全保障・技術など様々な面で自律的、戦略的なアプローチを推進すべきである。その中で日本の競争力向上という観点からも、米国のDII、或いは第3次相殺戦略の今後の方向を注視し、協力を模索していく必要があるものと考える。我が国の相殺戦略とは、米国やパートナー国との協力を通じて防衛装備・技術を一層の強みとしていくこと、競争相手に高いコストを強要するような運用構想を開発していくこと、その際に周辺諸国を侵略したという過去の歴史に由来するタブーを克服し、自らの弱点を改善していくことが不可欠である。



[1] 核抑止理論では、弾道ミサイル防衛のように相手からの攻撃を無力化する拒否的抑止と相手の第1撃に対して報復攻撃を行う懲罰的抑止があるが、本稿では同様の意味で相手の攻撃から我が国を防衛することを拒否的と定義し、相手の攻撃に対してその策源地や政経中枢などを報復攻撃することを懲罰的と定義した。

[2] Robert Martinage, “Toward A New Offset Strategy”, CSBA, 2014

[3] "The Third U.S. Offset Strategy and its Implications for Partners and Allies", Small Wars Journal, January 31, 2015, http://smallwarsjournal.com/blog/the-third-us-offset-strategy-and-its-implications-for-partners-and-allies

[4] Christopher P. Cavas, “US Navy’s Unmanned Jet Could Be a Tanker”, Defense News, February 1, 2016, http://www.defensenews.com/story/defense/naval/naval-aviation/2016/01/31/uclass-ucasd-navy-carrier-unmanned-jet-x47-northrop-boeing/79624226/

[5] DARPAによるテストがユーチューブで閲覧可能であるhttps://www.youtube.com/watch?v=ptrKN4M8f1Y

[6] 40mmのレーザー誘導ミサイルであり、細部はレイセオン社のウェブサイトを参照のことhttp://www.raytheon.com/capabilities/products/pike/

[7] Colin Clark, “DepSecDef On Boosted Humans & Robot Weapons”, Breaking Defense, March 30, 2016, http://breakingdefense.com/2016/03/depsecdef-on-boosted-humans-robot-weapons/

[8] 「産業競争力の強化に関する実行計画(2015年版)」、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/keikaku_honbun_150210.pdf

[9] 「日米防衛協力のための指針」、2015年4月27日、http://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/shishin/

[10] 2012年8月以降、3次元プリンティングに代表される積層造形技術に関するコンソーシアム、先進的な合金を含む軽量金属の開発製造に関するコンソーシアム、安価で短い製造期間で製品を製造することを可能にするディジタル製造及び設計技術に関するコンソーシアム、次世代の情報処理、通信、データ蓄積をより少ない電力で高速化、大容量化、小型化することを目指す統合フォトニクスに関するコンソーシアム、炭化ケイ素やガリウム・ナイトライドなどを利用したワイドギャップ半導体開発のコンソーシアム、先進複合材を安価で短期間に開発、製造する技術をめざすコンソーシアム、ウェアラブル端末のようにフレキシブル素材を用いたエレクトロニクス製品の開発をめざすコンソーシアム、先進的で高機能の繊維を開発、製造することを目指すコンソーシアムが立ち上げられている。コンソーシアムの個々については以下のウェブサイトを参照のこと https://www.manufacturing.gov/nnmi-institutes/

[11] 国立研究開発法人科学技術振興機構研究開発戦略センター「米国の科学技術情勢」http://www.jst.go.jp/crds/report/report06/US20151101.html

[12] 文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術基盤調査研究室「科学技術指標2015」p.26, http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-RM238-FullJ1.pdf



小野田 治 1977年防衛大学校卒(21期)。航空自衛隊での専門は通信電子。第3補給処長、第7航空団司令、航空幕僚監部人事教育部長、西部航空方面隊司令官、航空教育集団司令官を歴任し2012年7月に退官。同年10月、鞄月ナインフラシステムソリューション社顧問。2013年7月から2015年6月までハーバード大学アジア・センターでシニア・フェロー。神奈川県出身。


 
 


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