日本を取り巻く安全保障環境が、厳しさと不確実性を増しているなか、平和安全法制が成立した。平和安全法制を整備した背景は、日本の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の命を守るため、切れ目のない対応を可能とするためである。確かに平和安全法制の成立により、集団的自衛権の限定行使が可能となるとともに、自衛隊が地理的制約なしに米軍等外国軍の後方支援活動を行うことも可能となったが、平和安全法制はあくまで自衛隊の活動に法的根拠を与える位置づけであり、実際の自衛隊の作戦レベルでの分析検討はいまだ十分ではない。
したがって、本稿では、戦争のレベルである、戦略、作戦、戦術を扱う「作戦術」の視点から平和安全法制及び関連した閣議決定やガイドライン等を分析対象として、自衛隊の運用の幅の変化について明らかにした。