発足趣旨
日本をめぐる外交安全保障環境が大きな変化を迎える2021年、日本戦略研究フォーラム(JFSS)は我が国の外交・安全保障に関する政策提言を活動の柱とするシンクタンクとして「台湾との関係強化が日本の安全、ひいてはインド太平洋地域の安全を高めることに資する」との考えの下、日台関係を外交・安全保障の側面から考え、政策提言を行うための研究会を立ち上げるものである。
このコロナ禍にあって世界は大きな動揺と混乱を来しているが、米国政権は,今かつてないほど国際社会に台湾支持を広めている。さらに,日本および米国,豪州、インドといった4か国協議枠組みは中国を抑止し、「自由で開かれたインド太平洋」戦略を実現する鍵として機能しつつある。2020年12月からはフランス,イギリス、そしてドイツといった欧州諸国もこの地域に戦略的価値を見出し、日本との協力を模索している。我が国の尖閣諸島および南西諸島の防衛は東シナ海をめぐる中国の動きと密接に関わることから、台湾有事は日本の国益と不可分との認識をもち、その認識を政策として落とし込んでゆくことを検討すべき段階にある。
にも拘らず、現在日本政府は日台関係の標準化に向けた政策案すら提示せず、専ら習近平国家主席の国賓招致検討を続けるなど中国の顔色を窺っている。この態度が日本の南西諸島防衛および上述の諸外国との関係強化に水を差すと認識する必要がある。そして台湾の「親日感情」に胡坐をかいた日本側の由々しき怠慢を自戒しなくてはならない。逆に、あらゆる位相での台湾との関係強化が中国を牽制し、国益を守る「自由で開かれたインド太平洋」を完備する上で肝要であることを、今こそ積極的に発信してゆかなくてはならない。
そこで、JFSSはこれまでに培ってきた実務者、研究者、政治家のネットワークを活用し、わが国が有する台湾研究の英知と日台交流を総動員して政策本位の台湾研究を開始する所存である。
目的
【其の一】国交の有無にかかわらず政治、国防、外交、各種研究分野での交流が通常の主権国家並みに実施できること 【其の二】日本のあらゆるレベル・分野において日台関係強化・深化が日本の安全に資するとの意識を共有し、「国民の総意」として日台関係の支持の裾野を広げること 【其の三】日台関係について未来志向且つ現実的な問題意識を共有した業界・世代を超えたネットワークを構築・拡大・維持すること |
期待される成果
日台間の関係を国家間に準ずるものとする政策提言を行う。
日台関係強化が国益という理解を広め国民理解の裾野を広げる。
時機到来に備えた「台湾関係法」を整備するための材料を提供する。
南・東シナ海及びインド太平洋地域における関係国の共通益が存在するという認識を共有する。
メンバーについて
主としてプロジェクト推進に指導的な役割を担い、成果物/報告書の執筆及び取り纏めを行う「コアメンバー」と、研究の深化に貢献する「研究会メンバー」、そして事務等を担当する「事務局」に分かれる。各メンバーについては確定次第公表する。
活動内容
① 定例研究会(月1回)
毎回外部もしくは内部の講師を招聘し、司会、討論者を用意することが望ましい。研究会はチャタムハウスルールで行い、記録する。開催概要を逐次ウェブサイトに掲載し、ログをとる。定例研究会には回によって講師を招聘し、最新の専門的知見を研究、実務の両面から学び、プロジェクトを進める。各研究会のテーマや招聘講師についてはメンバーと事務局の協議で決める。
② 成果本作成のためのヒアリング、意見交換
国内外の専門家、実務者との対話を通じて執筆に必要な情報を補う。年1回程度の頻度で台湾での意見交換を目的とした共同研究会を開催することが望ましい。
③ 年次総括セミナーの開催
プロジェクト全体の進捗報告及び、最終成果物作成に向けたマイルストーンとしてセミナー(ウェビナー)開催。内容は『政策提言報告書』としてとりまとめる。
日程:2023年7月15日(土)、16日(日)
会場:ホテルグランドヒル市ヶ谷
日程:2022年8月6日(土)、7日(日)
会場:ホテルグランドヒル市ヶ谷
2021年8月に開催された、台湾有事を想定した政策シミュレーション「徹底検証:台湾海峡危機 日本はいかに抑止し対処すべきか」の概要を、この度インターネット上に公開し、多くの人とこの成果を共有したい。「台湾有事は日本有事」という考えの下に、多くの実務経験者・有識者がこれに参加し、日本が直面するであろう課題を浮き彫りにすることができた。この成果を踏まえ、2022年11月に第2回シミュレーションを開催する予定である。
日程:2021年8月14日(土)、 15日(日)
会場:ホテルグランドヒル市ヶ谷「ペガサス」「オリオン」
参加者:(50音順)国会議員3名、荒木純一(元航空教育集団司令官、元空将)、石井正文(前駐インドネシア大使)、岩田清文(元陸幕長、元陸将)、内山哲也(元海上訓練指導隊群司令、元海将補)、尾上定正(元航空自衛隊補給本部長、元空将)、大澤淳(中曽根平和研究所主任研究員)、片瀬裕文(元経済産業審議官)、兼原信克(元内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長)、住田和明(元陸上総隊司令官、元陸将)、高見澤將林(元軍縮会議日本政府代表部大使、元内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長)、武居智久(元海幕長、元海将)、村井友秀(東京国際大学特命教授、防衛大学校名誉教授)、本松敬史(元西部方面総監、元陸将)、渡邊金三(前日本台湾交流協会台北事務所安全保障担当主任、元陸将補)、渡邊剛次郎(元横須賀地方総監、元海将)