「国家間条約を遵守しない韓国」
―今こそ日韓外交の根本的見直しを―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 天皇の「即位礼正殿の儀」への参列で来日した韓国の李洛淵首相は10月24日、安倍晋三首相と会談し、韓国人元徴用工訴訟問題を巡って悪化した日韓関係について意見交換した。席上、李首相は文在寅大統領の親書を安倍首相に手渡したといわれる。
 経済的に窮地に立っている韓国が救われるとすれば日本の援助が決め手になる。外貨も底をつき国外から買う原料代も支払えない。日本以外に借りられるとすれば中国だろうが、中国が韓国を助ける義理はない。黙ってみているだけで韓国は崩壊し、北朝鮮と合併することになるだろう。朝鮮は南北共に中国の自治区に入ることになる。
 憎しみ余って日本への〝観光禁止策〟を打ち出した。現実に日本に来る韓国人観光客は48%急減し、日本の観光業者は泣いている。一方、韓国のLCCと呼ばれる格安航空会社も運営収入が無くなって、倒産寸前だという。もともと輸出入で食べてきた韓国経済は製造業を増やすことが、唯一の繁栄策だった。日本がフッ化水素系の3品目をホワイトリストから外した結果、反日運動が吹き出した。しかし国連が北朝鮮に経済制裁を加えている反面、韓国が北を支援している。その援助の中に戦略物資ともいえる品目が含まれるという。ホワイトリストから外されたといっても、禁輸をするわけではない。他の輸出品と同様に何をどこへ送るかを確かめるだけに過ぎない。その仕返しに日米間の三国で共有していたGSOMIAと呼ばれる軍事情報について、日本への通知はしないという。
 1年前、韓国大法院(最高裁)が韓国人元徴用工への賠償を命ずる判決を確定させた。日本政府は1965年の日韓基本条約で、貸し借りの一切合切を5億ドルの経済協力資金を供与することで処理済だという立場だ。
 「徴用工」、「慰安婦」に補償が必要だと思うなら、国内法に基づいて自国の財政で処理すべきものである。
 韓国大法院は、国際条約は国内法に優先するというべきだった。その条約に従えば国内補償は政府のやるべき仕事なのである。にもかかわらず、最高裁は日本に請求しろという。韓国政府は5億ドルの中に補償金も含まれることを2005年まで40年間も伏せていた。
 慰安婦について河野洋平元官房長官は、証拠もないのに「強制連行はあった」と認めてしまった。こういう評判を消すために安倍首相は「不可逆的解決」を約束させて10億円の基金を出した。ところが文政権は朴前大統領の約束はないものと蒸し返している。
 韓国という国は国際条約や大統領の約束でも、代が変われば無効となる国なのか。そうだとすれば安倍首相が助けを出しても、2年後に文氏が大統領でなくなれば、また交渉し直すのか。35年間の日本統治時代に、韓国社会はどれだけ進化したか。奴隷を失くし、識字率を一挙に向上させたのは誰か。安倍氏よ、これ以上の面倒を見る必要はない。
(令和元年10月30日付静岡新聞『論壇』より転載)