コンビニの時短営業に大賛成

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 以前からコンビニや牛丼店などの24時間営業に疑問を持ってきた。1人しかいない店舗での強盗事件も多発したこともある。コンビニがなかった時代と比較して働き方や生活スタイルが変化したことは分かる。便利だと思っている人がいることも分かる。
 だが24時間営業のない時代に、そのことを不便だと思っていた人はほとんどいなかったはずだ。夜中には眠るということが当然のように受け入れられていたのだ(勿論、そうではない職種もあった)。今、全国にコンビニは5万6千軒以上ある。この多くが24時間営業である。本当にこれだけの店舗が煌々と灯りを点けて営業する必要があるのか。異様だし、社会的損失に思えてならなかった。
 ここにきて漸くこの営業形態に大きな転換期が来たようだ。大手コンビニの1つ「ファミリーマート」が、来年3月から加盟店のオーナーが希望すれば、時短営業を認めるという新たな契約を導入するというのだ。報道によれば、新たな契約では日曜深夜から翌朝にかけてか、毎日、深夜の時間帯を休業するかの2つのパターンから選択するそうである。「セブン-イレブン・ジャパン」も、全国で2万を超える加盟店を対象に深夜休業を容認し、従来の24時間営業を転換すると発表した。「ローソン」もすでに一部の店舗で時短営業が実施されている。
 大手ファミリーレストランチェーン「ロイヤルホスト」は、2017年1月から全店舗で24時間営業を止めている。他のファミレスも多くが24間営業を取り止めている。
 深夜労働がやむを得ない職種もある。新聞印刷や配送、タクシー、病院など数多く存在する。だがやはり無理な働き方なのだ。だからこそ賃金の深夜割増もある。健康面での特別の配慮も必要となってくる。
 コンビニの場合、人手不足や人件費の上昇もあって、夫婦2人が中心の経営にならざるを得ず、健康を害するオーナーも少なくないという。テレビ東京の「ガイヤの夜明け」という番組で先月、「コンビニオーナー座談会」が放映された。そこであるコンビニのオーナーは、「開店から6年経つが、完全に1日休んだことは一度もない」と語り、労働時間は、月320時間~400時間、1日平均10時間から13時間、しかも深夜と早朝勤務が含まれているという。あるコンビニオーナーは、「競合店が増え、売り上げが半減した」という。
 こんな非人間的な働き方が放置されて良いわけがない。このオーナーも今は健康だからもっているが、健康を害してしまえば大変なことになる。
 ヨーロッパの国々では、24時間営業の店はあまりないそうだ。24時間営業をすべて止めろというつもりはない。必要な人も多くいるからだ。だが例えば、コンビニであれば、ある一定地域で今月はコンビニA、次の月はコンビニB、その次はコンビニCというように持ち回りでの24時間営業というやり方だってある。
 健康を害するような働き方を競争でやるなどというのは愚かなことだ。