年男の私は今年も多忙である

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 子年の私は年男である。2月の誕生日が来れば満72歳となる。十二支というのは、紀元前1600年頃の中国で木星の動きを把握するため天体を12分割し、それぞれに漢字を割り当てたことから生まれたそうだ。元々は「子」や「丑」などの字に「ねずみ」や「うし」といった意味はなかったのだが、民衆に広げるために動物の名を当てはめたそうである。
 ねずみは「ねずみ算」と言う言葉があるように、「子孫繁栄」の象徴とされている。株式市場にも「子年は繁栄」という格言があるそうだ。何よりも十二支のトップに来るのがねずみである。
 だが十二支から外れると途端に評価が変わってしまうのがねずみなのである。よく見るととっても可愛い顔をしているのに、「私、ねずみ大好き!飼ってみたい」という人はまずいない。アース製薬のHPに「アース害虫駆除なんでも事典」というコーナーがあって、「日本の家屋で見られるネズミは、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類です。駆除する際に、見分けがつかない場合は、クマネズミとして対処しましょう!」とある。要するに駆除すべき害虫なのである。
 ねずみ年の私からすれば、「あんまりだ!」と言いたいのだが、ねずみによって感染症の拡大など衛生面での被害、電線ケーブルをかみ切ることによる都市機能の被害などを考えると害虫扱いにも涙を呑んで耐えるしかない。
 子年の人の性格として、よく言われているのが、「真面目にコツコツと働き、倹約家で不要なものに金を使わない。そのため若いうちから財を成す」というものだ。勿論、なんの根拠もない。私など全く当てはまらない。憚りながら若いときも、今も財を成したことなどない。
 子年生まれで一番多いのが団塊の世代である昭和23(1948)年生まれである。その数268万人だ。ちなみに平成30(2018)年の出生者数は91万8千人だから、177万人も多い。この膨大な数の昭和23年生まれが、揃って財を成すことなどあり得ない。
 だが、ねずみのようにコツコツではないが、忙しくは動いている。昨年の師走と言われる12月などは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療で呼吸器科に通院、その際、酷いアレルギー症状が出ていることを知らされ、その薬も処方される。年末に右膝を痛めて整形外科に通院、半月板がすり減っていると診断され痛み止めと胃薬、貼り薬を処方される。その間隙を縫って虫歯治療のために歯科医院に4回通院。忙しいのである。
 膝の痛みは痛み止めを飲んでも取れないため、それでもこの原稿を書いている2日後にゴルフを強行するため非常措置として医師から前もって聞いていたヒアルロン酸注射を明日してもらう予定である。歯科は、今月も4、5回通うことになりそうだ。
 これだけ忙しければ、酒を飲む間もないのではと心配するむきもあるかも知れない。だが時間帯が違うのだ。さすがに夜の通院はないので毎日痛飲している。