もう一度言う。PCR検査を飛躍的に増やせ

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 連日、東京では新型コロナウイルスの感染者が100人を超え、収束の気配は一向に見えてこない。だが今のままの対応なら、残念ながら収束に向かっていくことはないだろう。
 まだワクチンは開発されていない。アビガンなど色々な薬が試されているが、未だに効果的な治療薬も存在しない。結局、マスクを着ける、消毒や手洗いをこまめに行なう、三密になることを極力避ける、という予防策しかないのだ。
 この状態で緊急事態宣言を解除し、日常生活を取り戻していけば、人との接触が否応なしに増え、感染が拡大するのは必然である。緊急事態宣言の解除が間違っているというわけではない。いつまでも自粛生活では、経済も暮らしも破綻してしまう。
 東京都の小池百合子知事などの発言を聞いていると“夜の街”“若い人”というキーワードが連発されているが、これは正しい情報の発信なのか疑問に思う。確かに新宿、池袋、大宮、鹿児島など、三密が出来やすい“夜の街”で多くの感染者が出ている。
 だが、感染者のうち、約半分は感染経路不明となっている。東京都内では、小学校の生徒や教師にも感染が拡大しつつある。これは“夜の街”対策だけでは、全く不十分であることを示している。そもそも毎日、どのテレビ局も新たな感染者数を発表して、ああでもないこうでもないと言っているが、検査件数が全く報道されていない。これでは実相は分からない。
 やはり飛躍的にPCR検査数を増やして、陽性者を隔離し、治療に当たる。陰性者で経済を回していくということを徹底するしかないのだ。幸い、若い人は感染しても無症状が多く、長い隔離は必要ない。街中に感染した無症状の人が普通に動き回っている限り、感染拡大が防げないことは誰でも分かることである。
 新型コロナについて、人間が知っていることはまだ僅かである。ワクチンの製造が本当に出来るかどうかも不確実なのである。一時、アビガンが特効薬であるかのように喧伝され、テレビでも盛んに強調する感染症学者もいたが、最近はとんと聞かなくなった。
 報道によれば、東京都のPCR検査能力は1日当たり約6,000件だそうだ。だが多い日でも実施件数は2,800件程度らしい。1,400万都民を抱える東京都でこれはいかにも少ない。これを1日当たり、万単位、数十万単位に増やしていかない限り、無症状感染者から非感染者を守ることは出来ない。
 専門家会議を廃止し、新型コロナ対応の特別措置法に基づく新たな分科会が設置され、会長には地域医療機能推進機構の尾身茂理事長が就任した。尾身会長も分科会で「PCR検査の拡充は、多くの国民の一致した意見だと思うので、政府には早急に議論を進め、実行に移してもらいたい」と語っている。
 ところが小池都知事からも、西村康稔経済再生担当相の話を聞いても、PCR検査数をどう増やすかという話が全く出てこない。韓国や中国の後塵を拝してどうする。しっかりせい!