①太陽に例えられる唯一指導者が登場する祝日記念式典をなぜ、明るい昼間ではなく暗い深夜に開催したのか?
②「偉大な太陽」と呼ばれる唯一の指導者、金正恩不在説を裏付ける兆候ではないか?
③新型大陸間弾道ミサイルICBMと潜水艦搭載SLBMはモデル•模型ではないか?
――という疑問を排除出来ない!
第1に、金正恩の肉声スピーチは、リアルタイム中継を避け、17時間の編集、ダビング過程で音声を変調した可能性が高い。因みに、9月1日、『労働新聞』1面トップには軍需工業部長李ビョンチョルの写真が掲載された。唯一指導体制の北朝鮮ではあり得ないことだ。これは、金正恩が軍部に実権を奪われた蓋然性が窺える。
警護部隊974部隊傘下(代役研究所)には、影武者10人が暗躍しており、代役が登場するイベントには、妻が同行しないから今回の行事に李雪柱は同行しなかった訳だ。
昨年11末、叔父、金平日は、北朝鮮に召喚、入国した。金平日も、張成沢や金正男のように殺される恐れがあったが、白頭山血統として特別な待遇を受けている。これも金正恩の身辺異常説を裏付けている。
第2に、金正恩は4月15日、金日成の誕生日である太陽節に太陽宮殿を参拝しなかった。それで、金正恩の身の回り異常説と死亡説まで北朝鮮国内に広がると、北朝鮮は国内の動揺を遮断するために、5月1日、影武者の順天肥料工場竣工式の動画を流した。だが、当日の映像は、今年1月7日に実施された順天肥料工場の竣工式映像を焼き直し編集したものだった。
英国新聞『The Sun』は5月1日、金正恩の影武者動画を公開した。5月2日、北朝鮮は休戦ラインDMZで対南銃撃挑発を断行し、わざと金正恩の健在をアピールした。続いて6月16日、金与正は南北共同連絡事務所を爆破した。これは実権を握った軍部が南北緊張を煽った軍事挑発であると考えられる。
8月20日、新任国家情報院長は国会で「金正恩が金与正と側近に権力を委譲して委任統治している」と報告した。しかし、唯一指導体制の北朝鮮で側近に権力を委譲することはあり得ないことである。
一方、北朝鮮軍部強硬派の代表である金英哲が実権を掌握して子分役の李善権を外交省長官に抜擢したと考えられる。軍部が金正恩と金与正を象徴的な役割に縛り置いたものと考えられる。その背景には、昨年末、金正恩が側近中の側近である護衛司令官を銃殺すると、軍部タカ派が、次は私たちの順番になると生命の危機を感知し、金正恩を去勢したものと思われる。やられる前にやった訳だ。
最後に、今回登場した新型ICBMと新型SLBMはモデル•模型である可能性が高い。ICBMは発射後、地上100kmの大気圏に再突入するとき、マッハ24,25の速度で7,000~8,000℃の高温に耐えられる耐熱技術が必須である。北朝鮮は未だに耐熱技術を整えてないと知られている。
2017年の米国DIA報告書によると、北朝鮮はICBM核弾頭の小型化に成功したと記されている。核弾頭の小型化技術は、米国が110kg、ロシアが255kg、イギリスが350kgであり、インドは500kg、中国は600kgである。北朝鮮は核弾頭を500~600kgまで小型化に成功したと知られている。しかし、北朝鮮はMIRV(多弾頭)が搭載されたICBM技術は未だに整えていないと分析されている。多弾頭がそれぞれの目標に当たるためには、GPS衛星誘導システムが必須だが、北朝鮮はGPS衛星を持っていない。
結局、今回の深夜イベントは誇示用、誤魔化しのトリックであり、サプライズ・ショーだったことを否定できない。