コロナ対策 —―若者だけではなく高齢者も責任を果たせ

.

政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 政府分科会の尾身茂会長は、若者の行動が感染を広げているとして、20代から50代の世代に対して、「昼夜を問わず外出を控え、食事は一人で、あるいは同居人と少人数でとることです。皆さんの命、お年寄りの命を守るだけでなく、日本の医療を救い、経済への悪い影響を減らせます。若い世代の皆さん、日本の危機を救う立役者になってください」と呼びかけた。
 もちろん間違いではない。だが私は高齢者にも責任を果たせと言いたい。
 私は埼玉県の川越市に住んでいるが、その場所は市の外れにある田畑の多く残るところである。だから、あまり人と出会わないところを歩くことが可能である。そんなこともあって毎日最低5000歩は歩くようにしている。週に一度くらいは1万歩以上歩くこともある。近所のスーパーにも、自転車には乗らずリュックを背負って、歩いて出掛けている。さすがにスーパーの中には、マスクをしていない人はいない。ただ鼻を出したままやスカスカでほとんどマスクの用を足していない人を少なからず見掛ける。テレビでも、街中を歩いている人やテレビの取材を受けている人の中に鼻が出ている人が結構多い。もの凄く気になる。コロナウイルスは口からだけでなく、鼻からも出入りしている。目からだって感染する。鼻出しマスクは、ノーマスクと同じなのだ。なぜテレビや政府も、鼻も覆うようにと強く言わないのか不思議で仕方がない。
 田舎ということもあってノーマスクの人とも結構出会う。そのほぼ全員が高齢男性である。女性は高齢者でもほぼ100%がマスクをしている。私も今月73歳になる高齢者だが、マスクは必ず着用している。宅急便で荷物が届いたときも出来るだけマスクをするようにしている。相手を不快な思いにさせないためである。私も含めて高齢者は、もはや大して社会に貢献することは出来ない。それは仕方がないことだ。だったら社会に迷惑をかけないように生きていくことだ。
 マスクは、感染を防ぐ一定の効果がある。他人に口からの飛沫を飛ばさない効果はもっと大きい。今やマスク着用は、社会生活を送っている者の最低限のマナーである。コロナによる高齢者の死者の数は相変わらず多い。マスクをしていない高齢者が多いことが原因だとは言わないが、感染すれば周りにも迷惑をかける。マスクは最低限のマナーだということを高齢男性も自覚してもらいたい。政府にも「マスク着用」を義務づけるぐらいの措置をとってもらいたい。
 先日もテレビでニュースを見ていたら、居酒屋の個室で数人の70代と覚しき老人たちが酒を飲んでいたのだが、仲間内で口論を始め、店員が止めに入り、「出て行って下さい」と注意する場面が報じられていた。全員がメロメロで個室から出てきた一人は、マスクもせずに各テーブルを回って、「すみません、すみません」と謝りだしたため、店員が慌てて制止に入っていた。こんな哀れで馬鹿な爺にはなりたくないものだ。