最近、韓国海軍が射程500kmの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の水中発射試験に成功したことが分かった。韓国は世界で8番目のSLBM開発国となり、対北朝鮮抑止力が大きく向上されるとともに、中国への抑止力も整えたわけである。発射試験は地上発射、水中発射、潜水艦発射の3段階の手順で行われ、韓国は昨年末、最初の段階である地上発射試験に成功。
今回の水中発射試験、潜水艦で実際に発射する環境と同じように行われたため、事実上SLBMの実戦発射技術をすべて確保したと言える。つまり、SLBMの核心技術である「コールドローンチ」(発射管からミサイルを水面上に射出した後に点火する方式)に成功したわけだ。
韓国国防省は3,000トン級の新型潜水艦を今月中に海軍に引き渡し、その潜水艦から直接SLBM発射試験を年内に行う計画である。この新型潜水艦は6つの垂直発射菅を備えており、来年にはSLBMを搭載するものと思われる。韓国は既に射程800kmの弾道ミサイル「玄武4」を開発したノウハウを保有しており、巡航ミサイルは射程1,000kmの玄武3Bと射程1,500kmの玄武3Cを実戦配備している。これらの射程を勘案すれば、韓国軍は今後、1,000~3,000 km級の中距離SLBMの開発に乗り出すものとみられる。
一方、北朝鮮は2015年1月のSLBM地上発射試験に続いて、同年5月、水中発射試験に成功した。翌16年8月24日、北朝鮮は2,000トン級潜水艦から射程500kmのSLBM1発を発射し、日本の防空識別圏に着弾させたことがある。現在は3,000トン級の核推進潜水艦(原子力潜水艦)を建造中であると知られている。韓国の3,000トン級の新型潜水艦はディーゼルエンジンに非大気依存推進(AIP)システムを加えたもので、最大潜航時間は3週間に過ぎない。従って、確実な対北抑止力を向上させるためには3ヵ月以上潜航出来る原子力潜水艦を早期建造しなければならない。韓国のSLBM開発は対北・対中抑止力を極大化する事によって米韓同盟を向上させるとともに日米同盟を支える戦略資産になると期待される。