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政策提言委員・軍事/情報戦略研究所長
西村金一
韓国軍合同参謀本部、米軍、防衛省の情報によると、北朝鮮は8月3日午前7時53分、ノドンと見られる弾道ミサイル2発を西部の黄海南道(ファンへナムド)・殷栗(ウンリュル)から東岸沖に向け発射した。1発は、発射直後に爆発したが、もう1発は、北朝鮮上空を飛行し、秋田県男鹿半島沖の西方250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。
今回のミサイル発射の軍事的意味、切迫してきた脅威について考察するとともに、日本の対応はいかにあるべきか、について提言したい。
【軍事的意味】
① トンチャンリやムスダンリの実験場から発射したのではなく、地中のサイロの実戦配備基地から移動用発射装置TELで移動して発射した。
ノドンは、2014年3月以降、実戦配備のノドンが発射されている。
そのため、
② 米軍や韓国軍に事前に発見されることなく発射できた。
③ 西部の殷栗(ウンリュル)から1000キロ飛行した。もし、東海岸付近から発射すれば、秋田県に落下した可能性がある。
④ 防衛省から発射予告が出されていない。おそらく防衛省は、事前に探知することができなかったのではないだろうか。
⑤ 7月19日のノドンミサイル発射時の北朝鮮中央通信の映像で、金正恩委員長(金正恩)が、日本を指示棒で日本の東京付近を射していた。おそらく、「日本の東京を狙え」とでも発言していたのだろう。
【切迫してきた脅威】
① 金正恩が決断さえすれば、北朝鮮は、いつでも、日本のどこにでもノドンミサイルを撃ち込めることを見せつけた。
② 今年の6月にムスダン6発目の発射を成功させた。その成功で、射程3000~4000キロ、グアムまで飛翔することが実証された。昨年から、潜水艦発射弾道ミサイル(射程は300キロでかなり短いものであるが)の実験も行われている。北朝鮮のノドン、ムスダン、潜水艦発射弾道ミサイルの3種類の弾道ミサイルが日本に飛んでくる可能性が高まってきた。これらのことで、日本のミサイル防衛はより複雑になり難しくなってきたと言える。
③ 3~5年もすれば、核兵器を小型化して、ノドンミサイルにも搭載が可能となることを、予測しておくべきであろう。
【日本の対応はいかにあるべきか】
① 日本人は、北朝鮮の現実的な脅威に目覚めるべきだ。
② 政策決定者が「問題ある危険な行為」「許しがたい暴挙」と発言するだけでは、済まされないことが起こる可能性がある。
③ ただちに、弾道ミサイル防衛の装備と態勢能力をアップすべきだ。
④ もし、北朝鮮が、日本の領土・領海に弾道ミサイルを撃ち込むことがあれば、反撃できる戦闘機や巡航ミサイルを装備すべきである。
⑤ 策源地攻撃(敵地攻撃)や先制攻撃も、対策の一つとして準備すべきだ。金正恩に「東京や原発を核兵器で攻撃するぞ」と脅されるのは、もう、目前に迫っている。