文書通信交通滞在費は廃止すべきだ

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 国会議員の歳費や諸手当は多すぎる。「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」によれば、「議員は129万4千円を、それぞれ歳費月額として受ける」とある。一般的に言えば給料である。これに6月と12月に期末手当が支給される。最近で言えばそれぞれ300万円強である。合算すると年間2,150万円を超える額が支給されていることになる。
 この他に、いま問題になっている文書通信交通滞在費が議員個人に月額100万円、年間1,200万円支給されている。これですでに3,350万円になる。
 更に立法事務費というのがある。これは国会の各会派に支給される。衆参両院で年間約54億円になる。国会は立法府だから、立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費の一部だと説明されているが、実態は各党の本部の収入に計上され、本部経費に充当されている。この資金も使途の公開は義務付けられていない。
 文書通信交通滞在費について日割りとか領収書添付などの議論がなされているが、そんな中途半端ことではなく廃止すべきだ。国会法第38条に、「議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、別に定めるところにより手当を受ける」とあるのが月100万円支給の根拠だ。
 では「公の書類」とは何か、「公の性質を有する通信をなす等」とはどういうことか、何らの規定もない。国会議員の公の書類とは何か。思いつくのは国会の本会議や委員会の発言録ぐらいのものだ。こんなものを大量に送っている議員など見たこともない。公の性質を有する通信とは何か。通信の秘密があるので、そんなものはチェックしようもない。参議院の比例当選議員は、全国が“地元”なのである。換言すれば地元が存在しないのが比例当選の参院議員なのだ。多少狭くはなるが衆議院のブロックで当選した比例議員も似たようなものだ。公の書類などを送る必要性はまったくない。要するに非課税の掴み金を国会議員に渡すためにお手盛りで作ってきただけのことなのだ。
 そもそも全国の有権者相手に公の文書を送付していては、億単位の費用が必要になる。
 交通費という名目も付けられている。だが国会議員には、新幹線のグリーン車などを含むJR全線無料パスと月3往復分の航空券(地元が飛行機を利用する地域の議員)などが交付されている。このために国会の予算からJRと航空各社に合せて年間13億円の支払いが行われている。有料なのはタクシーくらいのものだ。この国会議員になぜ交通費を支給する必要があるのか。
 滞在費は、まだ議員宿舎が整備されていない時代の産物なのだ。しかし今は、衆議院には新赤坂など490戸の宿舎が用意されている。参議院も新清水谷宿舎など100戸以上が用意されている。滞在費も必要ないということだ。
 つまり文書・通信・交通・滞在費のすべてが不要なのだ。ちなみに共産党議員だった私の口座に100万円が入金されたことは一度もない。党の管理だったからだ。