「中国マネーに操られる各国の要人たち」
―日、米、英、豪・・・―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 英国家保安部(MI5)は中国共産党とつながりのある中国系女性が、英議員への献金を通じて政治干渉を行っている、と警告した。BBC(1月14日付)によると、ロンドンに事務所を持つクリスティン・リー氏が、英政界との関係を深めていた。その動きは中国共産党の中央統一戦線工作部に同調するもので、献金の資金は中国や香港から提供されていた。
 政界にカネを送って、自国を有利に扱ってもらおうという趣旨の外国献金は意外に多い。
 17年12月、ターンブル豪首相は政界への「外国からの政治献金を禁止する」と発表した。これに先駆けてオーストラリアでは、在豪中国人の実業家5人が、サム・ダスティリア上院議員に献金して政治工作をしていることが発覚した。こうした献金に対する罰則がなかったため、同幹部は刑事責任を追及されなかったが、世論の厳しさを背景に政界からは永久追放となった。当時、中国が南シナ海の領有を宣言したことについて、豪政府は強い反対を表明したが、ダスティリア氏は院内で「問題ない」との見解を表明していた。同領海問題については、国際司法裁判所も中国の主張には「根拠がない」と判定していた。
 ジョー・バイデン氏が大統領に選出された時も、氏のかねてからの中国寄りの姿勢に強い懸念が示されていた。バイデン氏はオバマ大統領の時代には副大統領を務め、この2人が中国と対立するより利益を得ようと、疑われるような行動を取っていった。バイデン副大統領の息子、ハンター・バイデン氏が設立したコンサルタント会社のソーントン・グループの顧客には中国共産党や中国政府が含まれる。支払われた対価を父親のバイデン氏は無視できないだろう。習近平氏が次期総書記になることが内定してから、バイデン副大統領は習氏に急接近し、2011年の年初から1年半の間に習・バイデン両氏は8回も会議や会食を行った。その際、財閥の「万向グループ」を紹介されたが、同社は米国のリチウムイオン電池の開発を行う米企業「A123システムズ」社を無理筋で買収した。子息の中国経済界への食い込み様は只事ではないという。
 日本の領土である尖閣諸島の上空に中国が防空識別圏を設定した時、日本が期待した日米両国で共同声明を出す案にバイデン氏は同意しなかった。その時、さる外交筋はバイデン氏を動かす背景の大きさを感じたという。
 河野太郎氏は総理・総裁の最短距離に立つ人物と言われているが、中国に相当の資産を築いている。父親の河野洋平氏は95年3月、外務大臣時代に自ら経営に携わる電子部品製造企業の北京事業所を開設。同年12月に合弁会社「北京日端電子有限公司」を設立し、翌年に香港、07年に蘇州、12年に昆山に進出。17年にも広州に子会社を設立している。河野氏は原発をやめて太陽光、風力だけにしたいようだが、この旗を振ると、自分の同族会社が儲かるという仕組みだ。総裁を狙うなら、この利害関係を清算してからにして貰いたい。
(令和4年1月19日付静岡新聞『論壇』より転載)