北朝鮮は1月30日、日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。年明けの1月だけで7回目になる。
今回のミサイルは高角度で発射され、射程約800キロ、高度は2,000キロに達し、火星12型中距離弾道ミサイル(IRBM)であることが分かった。正常角度で発射すると射程は5,500キロを超え、米国領グアムとアラスカ辺りまで届く。
火星12型は2017年5月14日に初めて試験発射に成功した。同年7月4日には、初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星14型を試験発射。高角度で打ち上げ、高度2,800キロ、射程933キロに達し、米政府もICBMと認めた。
北朝鮮はさらに、同年11月29日、二段式に弾道部が付いた火星15型ICBMの試験発射に成功。米国の軍事専門家デービット•ライト氏は「正常角度で発射した場合、射程は約13,000キロであり、東海岸のニューヨーク、ワシントンまで到達するもの」と推定した。
当時、金正恩氏は「国家核戦力の完成」を宣言し、翌18年の新年の辞で「米本土全域がわれわれの核攻撃の射程圏内にある」として、「核弾頭と弾道ミサイルを大量生産して実戦配備する事業に拍車をかける」よう指示した。
一方、17年8月8日付の米紙ワシントン•ポストは、北朝鮮がICBMに搭載できる小型核弾頭の開発に成功したと米情報関係者の話として報じた。核弾頭の小型化と大気圏再突入の技術を解決できなかったと思われていたが、このような結論に至ったのだという。
北朝鮮は今後、実際に火星15型のICBMを発射する可能性が高いと予測される。特に注目されるのは2月16日の金正日総書記誕生日、韓国大統領選挙(3月9日)の前日。さらに、4月11日の金正恩氏最高指導者(労働党第1書記)就任10周年、もしくは4月15日の金日成主席誕生110周年記念日だ。
北朝鮮が実際にICBMを発射すると、18年6月の米朝首脳会談に先駆けて発表した核実験とICBM発射実験の中止決定(4月)を反故にする、自らレッドラインを越えることになる。
バイデン民主党政権にとっては、トランプ共和党政権と比べ対北政策で弱腰という世論が広がり、支持率がさらに落ち込みかねない。従ってバイデン政権は11月の中間選挙を睨んで、支持率を上げるため軍事行動まで視野に入れた強硬措置に踏み切る可能性がある。北朝鮮は危険過ぎる冒険をやめるべきだ。
(2022年2月12日付「世界日報」コラムより転載)