3月28~30日 訪台報告 台湾国防大学とパートナーシップ協定覚書に署名

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おしらせ JFSS事務局

 3月28日~30日の日程で当フォーラムの島田和久副会長、岩田清文顧問、武居智久顧問、長野禮子事務局長一行が台湾を訪問し、台湾国防大学とのパートナーシップ協定覚書に署名しましたのでご報告致します。
 署名に際し、台湾国防大学の劉志斌校長からお言葉をいただきましたので、以下にご紹介致します。その後に当事務局がまとめた訪台報告書を掲載致します。ぜひご覧ください。
 
 
 《劉志斌・国防大学校長のお言葉》
 簽署致詞稿
 ◎逐段翻譯
 
 日本戰略研究論壇島田副會長、岩田顧問、武居顧問、長野局長、長野秘書、副校長張中將、
 教育長李少將、政戰主任余少將、各軍事學院院長及本校各位同仁,大家午安!
 (翻訳)
 日本戦略研究フォーラムの島田副会長、岩田顧問、武居顧問、長野局長、長野秘書,本校副校長張中将、教育長李少将、政戦主任余少将、各軍事学院院長、皆様こんにちは!
 
 今天非常高興能代表本校全體同仁歡迎島田副會長及日本戰略研究論壇各位學者蒞校。日本戰略研究論壇為研究國際情勢及日本政治、經濟、軍事、科技等國家戰略為目的之專業智庫
 (翻訳)
 本日は本校の代表として、島田副会長ご一行にお会いできたことを心から嬉しく思います。日本戦略研究フォーラムは、政治・経済・軍事・科学技術・国際情勢、そして国家戦略などの領域において、非常にプロフェショナルなフォーラムであることは以前より存じております。
 
 成員包括日本防衛省退役將領及產官學界實務經驗豐富的研究學者,也是我國派員進行學術研究的重要智庫;另日本戰略研究論壇年度內常態性舉辦許多場次研討會,同時出版「日本戰略研究論壇季報」,對日本國防、經濟、科技等國家戰略政策提出重要建言。
 (翻訳)
 そのメンバーには日本防衛省・自衛隊を退官なさった優秀な幹部や経験豊富な学者などが大勢おり、また我国からの人材派遣を受け入れているとても重要なシンクタンクでもあります。その他にも、日本戦略研究フォーラムは定期的にシンポジウムの開催や季報の発行などを行っており、これらを通して日本の防衛・経済・科学技術など幅広い分野に向け、国家戦略政策を提言しています。
 
 本校為我國最高軍事學府,為整合基礎、進修及深造教育之完整大學,含括戰略、指參、科技、管理及社會科學等學術領域,下設8個學院、14個學系及5個研究所,具備完善的教育環境
 (翻訳)
 本校は我国の最高軍事学院であり、幹部達はここで基礎教育から高等教育を受けています。その中は戦略、指揮参謀、科学技術、管理や社会科学などのカリキュラムを含めた8学院14学科5研究科に分かれており、すばらしい教育環境を構築しております。
 
 而在專業研究暨教育領域上,“國際暨國防事務學院”及“中共軍事事務研究所”,為本校推動國際學術交流與國防智庫合作的重要學術單位。
 (翻訳)
 また、学術、專門や教育の領域において、本校は“国際及び国防事務学院”と“中共軍事事務研究所”を設立しており、国際学術交流や国防シンクタンクを推進させる重要な学院です。
 
 本次雙邊共同簽署「學術交流合作備忘錄」,對於雙方日後在各項學術研討活動、師資交流及駐點研究等事項,建立更緊密的合作管道和交流機制,可強化兩國學術合作關係與成果分享。
 (翻訳)
 今回私達は「パートナーシップ協定覚書」を締結することにより、今後も学術の交流や研究者の交流と派遣において、より緊密な協力関係と交流機構が構築されたと考えています。
 
 在此,我要特別感謝日本戰略研究論壇,對於推動雙邊學術交流合作的支持,也祝福雙邊未來合作順利,兩國邦誼永固,謝謝大家!
 (翻訳)
 ここで、日本戦略研究フォーラムの皆樣のパートナーシップ協定への支持に対して心から感謝の気持を申しあげます。そして今後、台日両国の協力と絆がより深まることを願っております。
 皆様ありがとうございました。
 
 
《訪台報告書》
台湾国防大学との間での「学術交流・協力に関する覚書」の締結について
 
 JFSS事務局
 
 日本戦略研究フォーラムは本年3月28日から30日までの間、島田和久副会長(元防衛事務次官)、岩田清文顧問(元陸上幕僚長)、武居智久顧問(元海上幕僚長)、長野禮子事務局長を中心とするメンバーで台湾を訪問し、台湾国防大学長との間で「学術交流・協力に関する覚書」に署名しました。
 
 また、本フォーラムが今年7月に実施を予定している第4回「台湾海峡危機政策シミュレーション」に関して、台湾側との事前調整を行い、併せて台湾の国防関係者との意見交換を行いました。
 
 台湾国防大学は、2000年に台湾の三軍大学、中正理工学院、国防管理学院、国防医学院を統合して設立された組織であり、我が国で言えば、①防衛大学校研究科 ②統合幕僚学校 ③陸自教育訓練研究本部教育部 ④海自幹部学校 ⑤空自幹部学校 ⑥防衛研究所及び⑦防衛医科大学校の機能を合わせ持った、台湾の国防・戦略に関する教育研究の中枢機関です。
 
 
 劉志斌学校長ら台湾国防大学幹部とJFSS一行
 
 
 同校との間では、昨年8月の学校長の訪日を契機に相互交流・協力について検討を開始し、今般、合意に達したことから、本フォーラムの島田副会長と同校の劉志斌学校長との間で覚書に署名したものです。劉学校長は、署名式において、「日本戦略研究フォーラムは台湾にとって重要なシンクタンクである」と述べ、本フォーラムを通じた日本との関係強化に期待を表明されました。
 
 
学術交流・協力に関する覚書を交換する台湾国防大学の劉志斌学校長(右)と島田副会長(左)
 
 
 国防大学への訪問に際しては、同校傘下の国際防衛学院、政治作戦学院も訪問し、相互にプレゼンテーションを実施した上で、日台関係を始めとする諸情勢について意見交換を行いました。
 
 
台湾国防大学側のプレゼンテーション
 
 
武居顧問によるプレゼンテーション
 
 
 また、「台湾海峡危機政策シミュレーション」の準備のため、国防安全研究院を訪問し、霍守業理事長(元参謀総長)ほかの幹部と、次に、遠景基金会を訪問し、賴怡忠執行長、李喜明元参謀総長ほかの幹部と、それぞれ、シミュレーションに関する意見交換及び実施内容についての認識共有を図りました。
 なお、今回会談を行なった元参謀総長のうち、霍守業元参謀総長は台湾でご存命のただ一人の「一級上将」(上級大将)です。
 
 
INDSR霍守業理事長ほかとのディスカッション
 
 
 霍守業INDSR理事長(右)と島田副会長(左)
 
 
遠景基金会とのディスカッション
 
 
 
 賴怡忠遠景基金会執行長(右)と島田副会長(左)
 
 
李喜明元参謀総長(右)と島田副会長(左)
 
 今般、台湾の国防大学という国防部長直轄の高位の当局との間で相互交流・協力の覚書を締結したことは、我が国として初のことであり、1972年以来の日台関係の歴史において、エポックメイキングなものと考えています。
 
 また、台湾の当局者や元高官との間で、「台湾有事は我が国有事」との認識を共有し、緊迫の度を増す台湾海峡情勢を始めとする諸課題について、率直な意見交換を行なうことができ、極めて有意義な訪問となりました。
 
 台湾は、我が国にとって基本的価値観を共有する重要なパートナーであり、大切な友人です。我が国が戦後最も厳しい安全保障環境に置かれている中、我が国は、この台湾との間で、より一層緊密な意思疎通を図って行くことが求められています。
 
 本フォーラムの果たす役割はますます重要になっているものと認識しており、本フォーラムとしては、今般の覚書の締結を契機に、台湾との間で安全保障・防衛の分野での意思疎通の強化を図り、日本と地域の平和と安全に一層貢献していく考えです。
                                           (了)
 
 
参考:訪問の様子は台湾現地紙において報道されました。
 
 【國防大學與日本戰略論壇簽署備忘錄】劉志斌主持簽署儀式 深化學術交流
 (「青年日報」、2024年3月30日)
 
 https://www.ydn.com.tw/news/newsInsidePage?chapterID=1663810
 
 記者陳怡璿/綜合報導
 國防大學校長劉志斌上將昨日與日本戰略研究論壇副會長島田和久簽署「學術交流合作備忘錄」,雙方正式建立長期合作機制,共同推動雙邊學術研究與交流。
 
 強化合作及成果分享
 
 劉校長致詞時表示,日本戰略研究論壇長期致力於研究國際情勢及日本政治、經濟、軍事、科技等國家戰略、亦為我國派員進行學術研究的重要智庫;除常態性舉辦許多場次研討會、同時出版「日本戰略研究論壇季報」、對日本國防、經濟、科技等國家戰略政策提出重要建言。
 
 劉校長強調、本次簽署儀式對於雙方日後在各項學術研討活動、師資交流及駐點研究等事項、建立更緊密的合作管道和交流機制、可強化兩國學術合作關係與成果分享;另特別感謝日本戰略研究論壇對於推動雙邊學術交流合作的支持、也期許未來合作順利、進而深化兩國邦誼。
 
(翻訳)
 劉志斌国防大学校長は昨日、日本戦略研究フォーラムの島田和久副会長と「学術交流・協力に関する覚書」に署名し、日本と台湾は学術研究と交流における相互協力を推進するための長期的な協力関係を正式に構築するきっかけを生み出した。
 
 協力関係と結果共有の強化
 劉校長は演説の中で、「日本戦略研究フォーラムは長年にわたり、国際情勢と日本の政治・経済・軍事・科学技術などの国家戦略の研究に尽力してきた。また、台湾にとっても重要なシンクタンクでもある」と述べた。同フォーラムは学術研究を行う人材を育成し、定期的に多くのセミナーを開催するとともに、国防・経済・科学・テクノロジーなど日本の国家戦略・政策に対する重要な指摘を含む「日本戦略研究フォーラム季報」を発行している。
 
 劉校長は、今回の調印式は日台が将来的に様々な学術セミナー、研究員・教員相互交流、研修生交流において緊密な協力ルートと交流のメカニズムを確立する事に貢献し、日台間の学術協力関係と成果の共有を強化できると強調しており、「日台間の学術交流と協力促進に対する日本戦略研究フォーラムの支援に感謝し、今後の協力が円滑に進み、それによって日台間の友好・協力関係が深まることを期待します」と述べた。