第48回定例シンポジウム
「混迷極まる国際情勢―日本の矜持を問う―」に参加して

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拓殖大学政経学部法律政治学科2年 伊藤航生

 今日の国際情勢は、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスとイスラエルの対立、そして中国による台湾への軍事的威嚇など、多くの地域で緊張が高まり混迷を極めている。このような緊迫化する国際情勢について専門家の方々のお話を聞けたことは非常に有益であった。
   元防衛大臣で衆議院議員の小野寺五典先生からは、戦争が起きる時は、相手に誤ったメッセージを与えてしまったことが原因となり発生する事例が多々あるとの指摘があった。これは今までの私にはなかった新たな視点で感銘を受けた。
   元ベトナム・ベルギー大使の坂場三男先生は今年11月に行われるアメリカ大統領選挙について解説した。トランプ前大統領の動向、ハマスとイスラエルの衝突で複雑化する凡そ400万のアラブ票と700万のユダヤ票の行方、国家保守主義と反グローバル化の世界的潮流の中で、今後、世界はどのような方向に向かっていくのかなど、大統領選挙を考える上での指標を示して下さった。
   拓殖大学海外事情研究所客員教授の名越健郎先生は、5期目を迎えたプーチン政権とロシア・ウクライナ戦争を中心に説明した。プーチンはベラルーシの併合も視野に「ミニ・ソ連」創設を目指している可能性があり、しかもロシアは近年、中国や北朝鮮にも接近し、北朝鮮に至ってはウクライナとの戦いにおいてロシアに砲弾を提供しているとのことだった。このことは日本としても注意深く見ていく必要があるだろう。
   皇學館大学准教授の村上政俊先生からは「国体」についての学びを深めることができた。国体を守ることは、国防の基本中の基本であると感じた。
   島田和久副会長の開会挨拶も印象に残った。秘書官として第二次安倍晋三内閣を支えてきた島田副会長は当時を振り返り、2012年8月15日にアメリカのシンクタンク・CSISが発表した「アーミテージ・レポートⅢ」の中に「日本が一流国家となるか二流国家で留まるのかの重大な局面を迎えている」と記されてあったことに触れ、安倍元首相就任当時の日米関係は民主党政権の失政により冷え切っていたことを指摘、このような状況下で「積極的平和主義」を推進し、毅然とした外交・安全保障政策を打ち立てることで日本の立場を明確にしたと述べた。
   私は、このような安倍元首相のスタンスこそが日本の矜持を保ち、日本が世界の中心で輝き続ける上で必要不可欠であると思った。