高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任した。
政策を自ら立案し、自らの言葉で語る能力を持ち、国民の幸福のために身を粉にして働こうとする覚悟に、多くの国民が期待を寄せている。高市総理の就任は日本を覆っていた閉塞感を一気に払拭した。株式市場もこれに反応し、株価は大幅に上昇している。また、総裁選中に自身が掲げた「Japan is back.」の言葉通り、高市総理は早速外交の場で特別な存在感を示している。この政権ならば内政でも外交でも国家国民のための政治を行なってくれるに違いないという国民の期待の高まりは、第二次安倍政権発足時を彷彿とさせる。だが、政治は結果がすべてだ。今後の高市総理のお手並み拝見である。
〈民主主義の正常化〉
自民党と日本維新の会による新たな連立政権の発足も、国民の期待感を高める要因となっている。これまで自民党の連立相手であった公明党は、自民党に対する「ブレーキ役」を自任していたが、小政党が大政党に影響力を行使して憲法改正をはじめとする重要な政策の実現を阻むなどというのは、そもそも民主主義の否定である。多くの国民はそんな非民主的な停滞とそれを許す自民党の体たらくに辟易していた。今回、特定の勢力が裏で影響力を行使し得る不透明な権力構造が瓦解したのは、民主主義の正常化として高く評価できる。
〈関西の復権を〉
また、日本維新の会は大阪を中心に関西圏を基盤とする政党である。これとの連立政権が関西の「復権」を促すことを期待したい。もともと我が国の中心は関西にあった。徳川家康が江戸に幕府を置いて以来、政治と軍事の中心は東京ではあるが、江戸時代が終わるまで都は京都にあり、日本の権威と文明文化の中心は関西にあり続けた。だが今、明治以来の東京一極集中により、関西は肇国以来2千年に亘り培ってきた真の日本文明の力を、十分に発揮できずにいる。つまり、今の日本の国家体制は、十全に国力を発揮できていないのである。関西の復権なくして日本の真の国力回復はあり得ないと考えれば、日本維新の会との連立はより一層大きな意味を持つ。
〈偉大な高市皇子〉
高市総理自身も、関西の奈良県の出身だ。奈良県はかつて大和国と呼ばれた、日本国濫觴の地である。この地には古くから高市という地名があり、その地名を冠した高市皇子(たけちのみこ)という人物は、上代日本の英雄であった。大海人皇子(天武天皇)の第一皇子として壬申の乱(672年)の際は軍を指揮し、これを勝利に導き、その後は太政大臣として政治の舞台で活躍した。その功績は誰もが認めるところで、皇子が亡くなった際には歌聖・柿本人麻呂が壮大な長歌を詠み、挽歌とした。この挽歌を超えるものは未だ日本の文学史上に現われていないとも言われる。
〈再び壮大なる挽歌を〉
壬申の乱は我が国史上最大の内乱であり、悲劇であった。その大混乱の世を治め、復興の筋道をつけた太政大臣・高市皇子と同じ名を持つ高市総理大臣が混迷極まる今の世に登場した。これは単なる偶然かもしれないが、高市総理には是非、偉大な大和の政治家・高市皇子を目指していただきたい。馬車馬の如く、力尽きるまで走り続け、その高志を全うしていただきたい。そうして積み上がる功績の高嶺を、国民は、山部赤人の歌の如く美しく壮大に「語り継ぎ、言ひ継ぎ行」くであろう。