外国人労働者受け入れを拡大する法案をめぐって、与野党激突の様相だが、そもそも激突するような問題なのか。
経済界が人手不足を補うために外国人労働者を受け入れたがっているのはよくわかる。しかし法務省の調査結果によると、入国して働いた実習生のうち、7割弱が「低賃金」で“逃亡”したという。月給について半数以上が「10万円以下」が実態のようだ。このレベルの企業だと日本人の応募があるわけがない。外国人に頼ろうと思うのは経営者の常識だが、社会常識ではこのレベルの産業は見切った方がいいということだ。職業の実地訓練となり、送り出し国が喜んでいるという意見があるが、役に立つ訓練なら訓練事業として存続させたらどうか。
日本の産業の労働生産性は先進7ヵ国の最下位で、これは1970年以来の低さだ。ドイツとは言わないまでも、せめてシンガポール、香港、マカオに負けない生産性を目指すべきだ。生産性を上げるには構造的に切り上げようのない産業は捨てるほかない。捨てるべきものを捨てることこそ立派な政治見識というべきものだ。
以上のような考え方の前提は、国家の人口が減ってもいいという前提が必要だ。
現在、日本の人口は1億2000万人。このレベルを維持するためには出生率2.02 程度を維持せねばならないが、日本にとっては不可能。働く世代は2020~64年の44年間で1500万人減るという。公的セクターも人手不足になるのは必至だ。これを外国人で埋め合わせるのは到底不可能だ。2060年を過ぎると人口8000万人規模の国の姿が見えてくるという。明治以来、国策として「産めよ増やせよ」でやってきたため、人口が減少する状況を直視できない。しかしドイツは8000万人でれっきとした一流国である。土台の国家がしっかりしているから年間120万人もの移民を受け入れている。
日本とドイツの共通点は言語の難しさである。移民が居つかないのはドイツ語の難しさだと気付いて、ドイツは移民のトルコ人たちに語学学校を数多く提供することを始めたという。日本が好きで日本に住みたがっている人には、滞在条件として日本語の到達度を示すパスを持たせたらどうか。
日本のように産業の一翼を担わせる実習生や移民制度はやめた方がよい。趣味や勉強をする人を優先的に入国させ、金銭的補助をしてもよい。ただしこれまでの実績から見て、中国人南北朝鮮人を優遇することだけは避けたほうがいい。これは人種偏見によって言うのではない。彼らは戦後の日本の歴史に虚偽の事実をなすり付け、自らが常に優越的立場に立とうとしている。この病気は治らないから、渡航に厳しい条件を付けよ。在日系は2代以上は帰化するか、帰国してもらう。在日中国人は既に70万人に達しており、政治に影響を与える単位になっている。
(平成30年11月28日付静岡新聞『論壇』より転載)