韓国の文在寅大統領は3月1日に1919年に朝鮮半島で起きた1万人規模のデモを称賛する“大演説”を行った。しかし本人が期待したほどの反応はなかったようだ。文氏側に立つ著名な人の記録によれば、死者7,509名、負傷者15,849名、逮捕された者46,303名、他に焼かれた家715戸などと“大暴動”だったことを示している。しかし旧内務省が残した調査によれば、捕まった約1万人のうち死者はなし。結局は全員が釈放されている。
日本で文氏のようなデマ宣伝をやれば、証拠を出せと言われて、運動自体が高揚しない。文氏は盛り上げようと思って、米朝会談が失敗したのに代わって景気付けをしようとしたのだろう。しかし韓国内も日本も白けた。
韓国は何故こういう大法螺を吹くのか。自らの建国の歴史を偉大に取り繕いたいに違いないが、実は韓国は戦わないで独立した唯一の国家なのだ。
韓国が日本に併合されたのは1910年から1945年までの35年間である。この併合は日韓の国際条約によって正規に結ばれ、国際的にも承認されたものである。今になって韓国はこの条約は無効だと言っている。その言い分で韓国歴史を書くと、日本が占有する前に大戦争が起こって負けた。その結果、占有されたが、ゲリラ活動を続け、45年に米英連合軍と共に日本を打ち負かしたとなる。日韓合併は世界が承知したことであって、この「記憶を抜いてくれ」と頼まれたからと言ってファクトが変わるものではない。このファクトが存在するとして、当時、上海に韓国の亡命司令部が置かれていたとか、北朝鮮では北が日本軍と戦っていたと主張する。金正恩氏の祖父・金日成は反乱軍の組織化を図っていたらしいが、日本領内では活動できず、ロシア側に引きこもっていたと言われる。戦後朝鮮は平和条約締結の際、「朝鮮を勝った側に列席させてくれ」と連合軍に申し入れて断られている。
慰安婦問題では、日本は何度たかられたことか。慰安婦業務は韓国では刑事事件にならない。日本は拠出した10億円を貰ったら、それでおしまいになる。そこで10億円を返還して「慰安婦問題」をいつでも蒸し返せるように振り出しに戻した。一方で戦時中のいわゆる「徴用工」に別途退職金相当を支払えという。そもそも日韓基本条約は「徴用工」の未払い賃金や残置した貯金などを調査して、日本が差し出した協力基金5億ドルの中から払ってくれという趣旨である。元「徴用工」に対する最高裁の判決では、なんと「日本政府から取れ」というのである。どんなヘボ裁判官でも国内法は国際条約の趣旨を組み立ててから創る。韓国式思考方法は世界のどこにも通じない。
このほか海上自衛隊へのレーダー照射、国会議長による「天皇謝罪発言」など、どういう思惑なのか。今、日本の苛立ちは日清戦争前夜に日本が困惑した事情とそっくりだ。
(平成31年3月6日付静岡新聞『論壇』より転載)