日大アメフト騒動での違和感

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 日大アメリカンフットボール部による反則行為、暴力行為に関わる騒動は、内田正人監督や井上奨コーチが辞任をしても、一向に収まる気配がない。
 日大の対応に対して、危機管理がなっていないとか、最初にボタンを掛け違ったなどの指摘があるが、これらの指摘は全く的外れである。スポーツでルールを破って、故意に相手方の選手を傷つけるなどということは、絶対にあってはならないことである。危機管理というのであれば、ルールを守り、汚い手段は用いないというのが大前提である。バレてしまえば大問題になるようなことをしておきながら、危機管理などしようがないのである。
 それにしても日本最大のマンモス大学にしては、執行部の出来が悪すぎる。ナンバー2の内田氏が関学を訪れ謝罪したのは、問題の試合から約2週間後だった。それも形だけの謝罪でしかなかった。その後、大塚吉兵衛学長が記者の問いかけに、「俺、知らないもん、全然」「フットボールなんてルールも知らないし」と答えるのみで、日大トップとしての責任感など全く持ち合わせていないことを如実に示す対応しかとることが出来なかった。
 田中理事長は、暴力団である山口組や住吉会の組長らとも親しくしているようで、写真も残っている。田中氏は「合成写真」だと弁明しているようだが、誰が、何の目的でこんな合成写真を作成するのか。むしろ田中氏は、暴力団幹部との親密な関係を利用して、その強面ぶりで大学内での地位を上げていったのだろう。
 日大では、弁護士を中心としたメンバーで第三者委員会を立ち上げ、2ヵ月をメドに報告書が提出されることとしている。その時には、田中理事長が記者会見するかのように言われているが、私の読みでは実現しないと思う。田中氏をよく知る人の話によれば、人前でまともにしゃべれる能力など持ち合わせていないそうだ。文春記者とのやりとりを見てもそれは伺える。だからこそ、未だに表に出てこないのである。こんな人物が、本来、もっともアカデミックな場所であるべき大学のトップに居座っていることに、大きな違和感を覚えるのは当然のことだろう。
 もう一つ、今回の騒動で違和感を覚えたことがある。やたらと父親や父母会が目立っていたことだ。ひ弱すぎる。我々が若い頃は、高校生、否、中学生でも「パパ、ママに相談する」ことなどあり得なかった。ましてや大学生である。20歳を過ぎれば、立派な大人のはずだ。パパやママに頼らず、自分たちの力で対応するのが本筋ではないのか。
 自分で決めるからこそ、誰にも責任を転嫁出来ない。それこそが人間力の成長に繋がるのである。