今回のオリンピックで際立ったのは、女子選手の活躍だった。中でもスピードスケートの活躍は素晴らしかった。
小平奈緒選手は、ずっと短距離のエースとして日本のスピードスケートを牽引してきた。2010年のバンクーバー五輪では、パシュートで銀メダルは取っていたが、得意とする500メートル、1000メートルの個人種目では、もう一歩のところでメダルに届かなかった。
そのため、ソチ五輪のあと単身でオランダ留学をして、フォームや練習方法を変えていったという。既に27歳になっていた小平選手にとって、言葉もできないオランダに留学するというのは、相当な覚悟がいることだったはずだ。オランダ語を習得するだけでも並大抵のことではない。小平選手はそれをやってのけ、ワールドカップ500メートルでは15連勝、1000メートルでは、世界記録を打ち立て平昌に臨んだ。
プレッシャーが圧し掛かる中で、見事に1000メートルで銀、500メートルでは五輪新で金メダルを獲得した。スピードスケートで日本の女子選手史上初である。
団体競技のパシュートとマススタートは、見ていて実に面白い競技である。素人の私だが、テレビで真剣に見ていると下手な解説者やコメンテーターよりは分かってくることがある。勝手にそう思っているだけだが。
パシュートで日本チームの特徴は、「ワンライン(一直線)」だということがどのテレビでも強調されていた。だがどのチームを見ても「ワンライン」なのである。風圧を避けるためには、こんなことは常識なのだ。それだけではなく、3人の選手の間隔がオランダなどと比較しても極端に狭いのが日本チームの最大の特徴なのである。これによって風圧を最小化しているのだ。
マススタートで金メダルを取った高木菜那選手の勝負勘も見事だった。1回戦では、最初に仕掛けて得点5を確保し、後は流して楽々と突破した。決勝戦では、力のあるオランダ選手の後ろに最後の最後までピッタリ付き、残り僅かなところで勝負を賭け逃げ切った。妹の美帆選手は金、銀、銅を一つの大会で獲得した。あっぱれと言うしかない。
女子カーリングのLS北見も見事であった。「そだねー」とか「もぐもぐタイム」など、流行語大賞に選ばれそうな言葉が人気を更に盛り上げた。このチームの最大の特徴は「笑顔」だ。どんなにピンチになっても、真剣に作戦を練っているのだが、最後は必ず笑顔が弾ける。負けた時には、涙もあるが笑顔もあった。笑顔はやはり人を惹きつける。
オリンピックで女子選手が何故これほど活躍できたのか。それは男子と殆ど変わらない競技種目があったからである。活躍できる場所があれば、日本の女性は活躍できる力を持っているということだ。北朝鮮の「美女応援団」など関心の埒外になった。今回のオリンピックを機に、女性の活躍できる場所が更に拡大していくことを切望する。