<憲法のあるべき姿を考える>
日本国の戦後史は、憲法9条をめぐる論争史であったといっても過言でないと思われます。
対日講和条約の締結、自衛隊の創設、旧日米安保条約の改定、国連の平和活動に参加するための自衛隊の海外派遣、集団的自衛権の限定的行使を認める平和安保法制、そして中東地域における日本隻船舶の航行の安全監視のための自衛隊派遣をめぐる数々の論点に対して、どのような評価を下すべきなのか、議論が百出しています。
これらの論争は、いまでも決着がついていません。いつになったら終止符が打たれるのでしょうか。現代日本を生きる私たちに突きつけられている最大の課題といえます。
その課題にこたえるには、憲法9条を正しく理解し、さまざまな視点から議論を展開していく姿勢が求められます。本書を、そのための素材としていただけたら幸いです。