国民的ベストセラー『失敗の本質』の共著者が教える安全保障の極意。台湾侵攻の有無や「五族」と中国の夢、日本の「核心的利益」が次々と明らかに。
「日本への核威嚇は機能しない」
「尖閣で中国は法的に勝ち目なし」
「中国が台湾を先制攻撃すれば、戦争を避けるために独立宣言しないという台湾の政策は無意味になる。したがって、中国が台湾を攻撃すれば、直ちに台湾は独立を宣言するであろう。台湾が独立国家ならば、中国と台湾の戦争は国家間の戦争ということになり、中国が主張する『台湾問題は中国の国内問題である』という主張は通用しなくなる」
「日中戦争時、中華民国総統であった蔣介石は『日本軍の侵略は皮膚の病だが、共産主義は内臓の病だ』と言った。今の中国共産党にとり、日中対立は『皮膚の病』かもしれないが、国内の民族主義は深刻な『内臓の病』である」
戦争の本質と民族の本質に立脚し、誰も指摘しえなかった視点から日中の力の関係を論じる一作。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
村井 友秀(むらい ともひで)
1949(昭和24)年、奈良県生れ。1978年、東京大学大学院国際関係論博士課程修了。1978年、ワシントン大学国際問題研究所研究員。1993年から防衛大学校国際関係学科教授、その間、国際関係学科長、人文社会科学群長、総合情報図書館長を歴任。2000年から2015年まで防衛大学校空手道部部長。現在、JFSS顧問、東京国際大学特命教授、防衛大学校名誉教授、国際安全保障学会理事、平和安全保障研究所研究委員、防衛省新防衛政策懇談会委員、日本赤十字社研究倫理審査委員、日本防衛学会会長。
主要著書に、『失敗の本質』(ダイヤモンド社、1984年)、『戦略の本質』(日本経済新聞出版、2008年)、『中国をめぐる安全保障』(ミネルヴァ書房、2007年)等がある。