1966年に中国文化大革命が始まったとき、内モンゴル自治区には150万人近くのモンゴル人が暮らしていた。
だが「少数民族のモンゴル人は全員が粛清の対象とされ、少なくとも34万6,000人が逮捕され、2万7,900人が殺害され、12万人に身体障害が残った。これは中国政府が大幅に被害者数を縮小して発表した公式見解である」(序章より)
本書は約6000頁にのぼる中国政府の公文書と被害者報告書、加害者側と被害者側の記録など、ほとんどが中国では未公開で研究者も閲覧できない資料をもとに、封印された殺戮の全貌を検証した決定版である。
『ジェノサイドと文化大革命――内モンゴルの民族問題』改題。
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1964年、南モンゴルのオルドス生れ。北京第二外国語大学日本語科卒。国立民族学博物館併設総合研究大学院大学博士課程修了。1999年から静岡大学勤務、現在に至る。
主な著書に『墓標なき草原』(司馬遼太郎賞受賞)、『独裁の中国現代史:毛沢東から習近平まで』『逆転の大中国史:ユーラシアの視点から』『「中国」という神話:習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(文藝春秋)、『内モンゴル紛争─危機の民族地政学』『モンゴル人の中国革命』(筑摩書房)、『日本陸軍とモンゴル:興安軍官学校の知られざる戦い』(中央公論新社)、『狂暴国家:中国の正体』(扶桑社)など多数。