はじめに
今回提示されたテーマは「内政と外交」である。内政と外交は、国家における車の両輪であり、どちらが欠けたとしても、厳しい国際社会において真っ当な国家運営はできない。国家運営において最も重要な人物は、当然ながら国家指導者である。しかし、世界を見渡すと内政と外交の両正面において高く評価されている国家指導者は稀である。
本稿においては、まず主要国のリーダーの内政と外交を紹介し、国家の指導者に必要な資質とは何かについて考えてみたいと思う。
内政と外交を考えると結局はリーダーシップ論になる。過去を振り返ると、民主党政権時代は典型的だが、内政基盤の弱かった政権や外交力が乏しい国家指導者の時に大きな国家の危機が起こっている。国家指導者の資質は、国家の危機にいかに適切に対処できるかに直結し、資質なき者が我が国のリーダーになることだけはやめてもらいたいと思うのである。
資質なき者が日本のリーダーになるべきではない
櫻井よしこ氏が、2018年9月に予定されている自民党総裁選に「必ず出る」と明言した野田聖子総務相について、「まったく哲学を感じられない人だ。資格はない」と厳しく指摘したが、多くの人々の意見であると思う。
私は、国家のリーダーになりたいと手を挙げる人たちに聞きたい。あなたは、経済、外交、安全保障など必須の分野についてどの程度勉強し、いかなる知識や見識を持っていますか? 厳しい国際環境下において、日本をいかなる国家にしたいと思っていますか? 国家のリーダーには特別な資質が求められることをどの程度理解していますか?と。
我々は、2009年から2012年まで最悪の「失われた3年3ヵ月」を経験した。民主党政権の時代だ。宇宙人と言われた鳩山由紀夫首相の時代には、脱官僚・政治主導を掲げたパフォーマンスを展開したが、内政では高速料金の無償化や子ども手当などの大盤振る舞いのために新規国債発行額は過去最悪になり、普天間基地移設問題では「基地の移転先は最低でも県外」と大見得を切ったが、結局は自民党の辺野古案を認めざるを得なかった。この間、米国との関係よりも中国との関係を重視した発言を繰り返し、日米関係が最悪の状態になってしまった。
菅直人内閣においては、尖閣諸島中国漁船衝突事件で逮捕した船長をあっさり釈放してしまい、対中外交における大きな汚点を作ってしまった。