深化する日台関係の課題

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「日本李登輝友の会」事務局長 柚原正敬

日台の世論調査に現れた親密度
 日本と台湾の間に国交はない。それにも拘わらず、その絆は益々強くなっている。台湾の親日ぶりは、台湾の世論調査に如実に現れている。
 2006年6月、台湾のビジネス誌「遠見」による世論調査では、「移住したい国」「最も立派だと思う国」「旅行したい国」で、いずれも日本が1位だった。
 その10年後の2016年3月、日本台湾交流協会台北事務所(駐台日本大使館に相当)が発表した「対日世論調査」でも、台湾の人々が「最も好きな国」として挙げたのは日本で56%、中国の6%や米国の5%を大きく引き離し、台湾の親日ぶりには些かの変化もなかった。
 一方、日本人の台湾への親密度はどうかというと、台北駐日経済文化代表処(駐日台湾大使館に相当)が2011年6月に発表した「台湾に関する意識調査」では、「台湾を身近に感じるか」という問いに「とても身近に感じる」の19.3%と「どちらかと言えば身近に感じる」の47.6%を合わせると、日本人の67%が台湾に親近感を覚えると答えている。
 同代表処が5年後の2016年10月に発表した「台湾に対する意識調査」でも、日本人が「もっとも親しみを感じるアジアの国・地域」は台湾で、59.1%とダントツの1位だった。韓国の11.4%や中国の3.2%を大きく引き離し、日本人の台湾観にも変化はない。

日台間の往来数は600 万人
 日台の親密度は、この日台双方の窓口機関による世論調査によく現れている。それを具体的に見るなら、分かり易いのは人の往来数だろう。日本政府観光局の統計によれば、昨年、日本からは189万人、台湾からは416万人、双方で605万人にもなっている。
 日台双方の往来者数は、東日本大震災の2011年は229万人だったが、2012年には293万人となり、2013年は363万人、2014年は460万人、2015年は542万人と、毎年80万人ずつ増える活況を呈し、昨年は遂に600万人を超えたのだった。
 台湾からの訪日者数は、2003年は78万人、翌2004年に初めて100万人を突破して108万590人となり、台北駐日経済文化代表処が祝賀会を開いたことを思い出す。
 因みに、昨年の訪日外客数は中国がトップで637万人、次いで韓国の509万人、台湾は3 番目の416万人となっている。台湾の人口は、5,145万人の韓国の半分にも満たない2,354万人だが、その訪日者数は総人口の17.6%にも及ぶ。韓国は総人口の9.8%であり、ましてや13億5,000万人以上と言われる中国とは比較にさえならず、台湾からの訪日者数がいかに多いかが分かる。