「衆院総選挙後の三極」
―安倍首相による普通の国への基礎造りに期待―

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会長・政治評論家 屋山太郎

 ご紹介頂きました、会長の屋山でございます。
 2ヵ月程前、安倍首相とお会いした時に「では次回お会いする日は10月23日にしましょう」ということで別れたのですが、23日と言いますと今回の衆議院解散総選挙の翌日です。内閣や選挙の事後処理などで大変忙しい時期に次回の日程を設定したことを考えると、安倍首相が2ヵ月前に解散総選挙を考えていたとは思えません。

近視眼的時局認識に国民の声届く
 そうした中で朝日新聞は今回の解散総選挙を、森友・加計問題隠しの為だと主張しております。私は政治記者を50年ほどやって来ましたが、このような主張をする朝日新聞の時局に対する近視眼もここまで来たかというのが率直な感想です。聞くところによると、この前まで800万部あった実売は400万部を切ったとのことです。
 最近(2014年9月)になってやっと慰安婦に関する記事の訂正を行いましたが、これにより購読を止めた人も多いと聞きます。慰安婦に関する記事の捏造に関しては、日本人のプライドに関わる問題ですので、単なる訂正という軽い扱いで済むとは思えず、こうした事の積み重ねで国民の「朝日離れ」が進んでいるのだと思います。
 かなり前の事件ですが、沖縄返還協定に関連した西山事件というものがありました。西山氏は「知る権利」を武器に争ったと主張する事件ですが、実際のところはスクープした内容を記事にすることなく日本社会党の議員に提供し、しかも情報源の外務省の女性事務官とは情を通じていたと言われるものです。この汚いやり方のせいで当時600万部あった毎日新聞の実売は400万部ほどに減ったと言います。このようにマスコミの所作に対する国民の声は、必ずボディブローのように効いてくるものだと思います。

日米同盟に裏付けされる今後の国家運営
 安倍首相がこの時期に解散総選挙を決断したのは、恐らく北朝鮮問題ではないかと類推できます。11月にトランプ大統領が来日し、その後の北朝鮮がどうなるか分からない。どうなるか分からない北朝鮮問題に対応する前に、一旦解散総選挙をして、3選を視野に入れた安定した安倍政権を確立しておく必要があると思ったのでしょう。
 アメリカは北朝鮮に核開発やミサイル開発を止めさせようと躍起になっておりますが、どうも北朝鮮も頑張っている。トランプ大統領と金正恩のそれぞれの性格を踏まえた上で、北朝鮮問題がこれからどうなるかを予想しますと、今はどちらも拳を下ろすに下ろせないのではないかと思います。