「長老支配」「上意下達」「閉鎖性」が続く日本共産党

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

90歳近い不破氏が実権を握る組織
 党規約上は、現在の共産党において、最も上位の職責を担っているのは、志位和夫幹部会委員長である。共産党の中央組織である中央委員会には、「しんぶん赤旗」の記者、国会議員秘書(中央委員会勤務員というのが、党での正規の立場である。任務として国会議員の秘書となっている)なども含めて、数百人の勤務員が働いている。
 その中で通常、中央役員と呼ばれているのが、准中央委員以上である。下から順番に言うと准中央委員(討論に参加できるが議決権を持たない)、中央委員、幹部会委員、常任幹部会委員となる。幹部会委員長、中央委員会議長を歴任した不破哲三氏は、これらの役職は降りたものの、88歳の今も最上位の常任幹部会委員として残っている。不破氏の前に幹部会委員長、中央委員会議長を歴任した故宮本顕治は、89歳まで議長を務めたが、不破氏から引導を渡され嫌々引退させられた。不破氏はほぼ同年齢になっている。
 昨年の党大会では、高齢の役員の留任が目立った。副委員長の浜野忠夫氏(85歳)もその一人である。私が在籍していた当時から、浜野氏は不破氏の“伝令役” であり、側近中の側近であった。不破氏は、志位委員長には殆ど直接には意見を言わず、浜野氏を通して指示を出していた。不破氏の意向は、浜野氏に聞けば分かるほどであった。
 元書記局長の市田忠義氏も既に75歳になっている。同氏は2015(平成27)年に、任期限りで引退を表明していたが、翌年の参院選挙に出馬し、4回目の当選を果たしている。「野党共闘を進める上で、他野党との人脈を生かすため」というのがその理由だそうだ。
 だがこの理由は後付けに過ぎない。不破氏が高齢でも党の最高幹部に居座るためには、浜野氏も、市田氏も留任しなければ都合が悪かったのである。現在、80歳代の中央役員は不破氏、浜野氏の二人だけである。市田氏も4番目の高齢である。
 恐らく不破氏は死ぬまで役職を降りないと私は見ている。役職を降りれば、日常生活が危うくなるからだ。私も何度も行ったことがあるが、不破氏は神奈川県の津久井の山中に住んでいる。中央自動車道の相模湖インターで降り、山道を相当の時間をかけて上った先に自宅を構えている。本当に不便な所である。私が行っていた当時は、党本部から派遣された料理人が常駐し、党の車で夫人共々送迎してもらっていた。今もそうだと思う。不破夫人は不破氏よりも年上である。もし不破氏が党の役職を降りれば、不破氏といえども一党員である。