保守が守らねばならないもの

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理事 石川裕一

はじめに
 保守が守らねばならぬものは何か。この素晴らしい自然を伴った日本の領土、そしてその国土で暮らす我々の安全であることは言うまでもない。そのために国軍を憲法に明記して、国土・主権を自らの手で守るべきことは改めてここで述べることではない。現在、守らねばならぬが実際に守られていないものは、国土・主権ばかりではなく、日本固有の歴史文化、更に主権の要件である国体ではないか。憲法改正に伴う自衛隊の合法化と、国軍としての位置づけは言うまでもないことであるが、国体を始めとする、目に見えないものを守ることも、保守の重大なる役目である。
 現代における保守とは、保守を自認する国民にどのようなものか、理解されているのであろうか、日本人の考える保守とは何であろうか、いや世界における保守の定義はどのようなものであろうか。そもそも、保守思想とか保守主義という概念はあるのか?保守政治の遂行者を自認している自由民主党に保守の精神は存在しているのであろうか、マスコミュニケーションで言われている保守政治とは本来の保守政治の神髄を理解した上で、発信しているのであろうか、保守的な人などという言い回しで評価されている人は、本当に保守的な人であるのか。いやそうではない、様々な誤解の上に保守という言葉が使われているように考える。
 辞書によれば、保守とは、「古くからの習慣・伝統・社会制度・考え方を尊重し急激な改革に反対すること」とある。この定義を基に考えると、現代の日本には、保守が消滅してしまっているか、機能していないと思われる。保守とは日本のみの考え方であるはずもなく、世界各国それぞれの国において保守は存在し、保守を実践し、それを大切と考える人々がいることであろう。国によりそれぞれその保守の実践が異なることは、その定義から当然であり、世界共通の保守とはあり得ない考え方であろう。共産主義やグローバルスタンダードがともに保守とは相容れないのは、国により保守そのものの認識が異なることから明白である。世界統一基準に保守はそぐわないと考える。

フランス革命における保守主義
 エドマンド・バークは「フランス革命についての省察」において、1789年7月14日に起こったフランス革命に対して、その行動を徹底批判して政治思想家として保守主義を明確に定義付けた。まさに革命的な変革に対しての批判であり、旧来の伝統を無視し、更にそれを破壊したフランス革命に対しての、イギリス保守思想家の強烈な批判であった。