日米台連携強化のために

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会長・政治評論家 屋山太郎

様変わりした国際情勢
 最近の国際情勢は、5、6年前と比べると大きく様変わりしています。恰もかつての米ソ冷戦のようです。米ソ冷戦は横綱が土俵の上で力いっぱい取り組んで、傍からはあまり動かない、横綱相撲という感じだった。結局、共産主義と自由主義の対決競争でソ連が敗けたことが非常にはっきりした。こういう国際秩序の中で戦争をやっている訳ではないのですが、熱戦と言いましょうか、米中関係が非常に慌ただしくなってきました。これは米ソ冷戦よりもっと酷い状況ではないかと、私は思っています。これはトランプ大統領が中国に対する関税を引き上げたことがきっかけですが、以前から貿易問題をみておりますと、米国の方が随分割を食っているなとの印象でした。これまで、国際貿易機関(WTO)は、自由貿易を推進することを建て前に、皆自由貿易推進者の集まりでやってきました。そこに共産主義という体制の異なる国が入ってきた。その前に、環太平洋経済連携協定(TPP)を安倍首相が進めてきていますが、ベトナムがなかなか収まり難い。共産体制国家には国家企業というのがあるために、それが自由経済圏の中に入ってくるのは様々な問題があります。しかしベトナムは小さい国ですし、うまくいかなければ企業を民営化するということもあります。しかも民族的にも柔軟な考え方を持っていますので、TPPにベトナムが参加しても大きな問題にはならないだろうと考えておりました。
 ところが、中国は2001年にWTOに加盟しましたが、体制の違う中国を何故加盟させたかというと、結局、自由主義諸国の中で、遠慮したり、得をしたり、損をしたりという中で中国が揉まれていけば、いずれ民主国家になるだろうという見方があった。私は初めから「あり得ない」と見ていましたが、案の定20年近く経ってみたら、とんでもない国になっていた。

中国の理不尽な要求
 中国の軍事費は毎年2桁ずつ伸ばしてきた。中国の国内総生産(GDP)は過去17年間で9倍になりました。儲かっているからこそ軍事費が積み上がっているということです。中国のやり方を見ると、どの国も中国に侵出すると、ブラックボックスである企業秘密を強制的に開示させられたりと、今まで起こらなかったことが起こる訳です。悪い事に日本などは、ブラックボックスの開示などやりたくないがモノを売れなくされたり、追い出されたら大変だということで、中国に遠慮しながらやってきました。
 小泉首相の時に一番腹立たしかったのは、財界人が首相に靖国神社参拝を中止しろと言いに来たことです。