台湾は日本防衛の生命線

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顧問・東京国際大学特命教授 村井友秀

 皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました村井です。
 今日は基本的には「日本の安全をどう守るか」ということを話の中心にしてお話したいと思います。ではその為には何が大事かということですが、「孫氏の兵法」によれば、「敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず」です。「敵」は日本の安全を脅かす最大の国である中国です。では「己」は誰なのか、それは日本と台湾です。台湾は一体どういう国なのかを考えてみたいと思います。というのは、敵を分析しただけでは戦争に勝てない。己をしっかり分析してこそ戦争に勝てる。これが一番の基本原則です。
 もう1つ、今日のお話の中でポイントになるのではないかと思っていますが、今の世界では外交交渉で問題が解決されるため、簡単には戦争は起こりません。では、外交交渉とは何なのかと言いますと、要するに、外交交渉の結果というのは、特に信頼関係がない国家同士の場合には、外交交渉の結果と戦争の結果は比例しています。戦争と外交というのは全く別のものではなく、戦争で勝たなければ外交でも勝てないということです。こうした国際関係の原則を我々はもう一度認識する必要があります。特に日本の今の言論界の雰囲気の中では、戦争に勝てなくても外交で勝てると主張する研究者やマスメディアがありますが、これは幻想です。戦争に勝てなければ外交では絶対に勝てません。外交で勝ちたかったら戦争に勝てる態勢を整えておくことが必要だということです。
 
日本防衛の生命線
 今日の私のテーマである「台湾は日本防衛の生命線」であるということをこれからお話いたします。日本防衛の生命線とは一体何なのかと言いますと、これは誰が考えても分かるように、日本はどうやってこの国を繁栄させているのかです。食糧の自給率が40%しかなく、燃料の自給率が4%しかない国がどうやって繁栄してきたのか。それは外国との貿易があるからです。シーレーンが生命線なのです。
 日本はどうやって生きているのかと言うと、外国と貿易をして生きています。中国と日本がもし戦争になるとすると、中国が沿岸部に展開する数千発のミサイルの射程内に日本は入れない。東シナ海、南シナ海に入れない。マラッカ海峡を通るシーレーンは使えなくなる。どうなるかと言うと、今考えられているのは、迂回ルートです。インドネシアのスンダ海峡やロンボク海峡を通って日本へ持って来る。もしこのルートを使おうとすると、何が必要かと言いますと、日本、台湾、フィリピンを結ぶ、所謂第1列島線の防衛ラインを維持できるかどうかです。