アジアの自由を守る―日米台間の協力

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上席研究員・元米海兵隊大佐 グラント F・ニューシャム

 私の本日のテーマは「アジアの自由を守る―日米台間の協力」というものです。
それにはまず、台湾の重要性を理解するために一番簡単な方法として、地図を見ることです。
 台湾は東アジアの第1列島線の真ん中に位置し、もし台湾がなくなれば、或いは中国が台湾を支配すれば、第1列島線に穴が開き、中国が東方に簡単に出られるようになります。そのことを頭に入れておかなければなりません。

序論
 確かに、日米の安全保障体制はアジアの防衛の鍵だと言われています。しかし、それには台湾との連携が不可欠です。台湾の防衛は日本の防衛であり、アメリカの防衛にもつながります。
 このテーマについて考えるには、次に4つの基本的な論点に集約されます。
 
1.日米防衛関係は揺るぎないものか?
 この論点について米政府に考えを聞くと、問題は全くない、日米関係は強固だと言います。しかし、見かけほどではないというのが私の見方です。何故かと言うと、危険なまでに不均衡だからです。簡単に言えば、アメリカは日本の為に命を賭ける約束をしましたが、日本はアメリカに対しそういう約束はしておりません。それは基本的に不均衡な問題だと思います。日本は60年以上もの間、自国防衛を米国に任せてきました。トランプ大統領だけがそういう考えを持っているかのようですが、アメリカの世論でもその考えがかなりあります。米政府、国務省、国防省やメディアは発表しませんが、実は非常に深刻な問題だと思います。

2.日本は何をすべきか?
 これについて4つの提案をします。
 第1は、自衛隊の統合能力の強化です。今の状況は、自衛隊の統合能力が不足しているため、本来の自衛隊の能力の3分の1程度しか発揮できていません。
 第2は、防衛予算の増額です。F-35やイージスシステムの調達等も大切ですが、私が一番提案したいことは、自衛官の生活改善のために、給料の見直しをすべきではないかということです。現在の自衛官の給料は、米海兵隊から見れば信じられないほど低いと思います。これは自衛隊の評価につながる大きな問題だと思います。
 第3は、自衛隊を合法的な組織と認識するということす。安倍首相が進める憲法改正を私は支持します。何故なら、何よりも軍人の立場から考えれば精神的なことが大切です。それは装備や設備だけでなく、自衛官はどんな階級であれ、精神的な強さが求められます。憲法が自衛隊を合法的な組織であると認めれば問題を解決することができます。
 第4に、自衛隊と日本の軍事力を高めるために、自衛隊はもっとリスクを負うべきです。