平成30年度外務省補助金事業終了報告

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千葉科学大学教授 佐藤庫八

 只今、ご紹介頂きました千葉科学大学の佐藤です。昨年10月、秋のシンポジウムで中間報告を致しました「平和安全法制に基づく我が国の国際平和協力の在り方・方向性の研究」につきまして、今月10日、外務省(総合外交政策局)に最終報告を行いました。本日は、その概要について報告させて頂きます。
 本研究は、外務省が行っている「外交・安全保障調査研究」事業に、JFSSが応募して採用され、平成29年、30年と、2年計画で行ってきたものです。昨年4月に中間報告を行い、「A」評価を受けていました。現在、最終報告書の審査が行われていますが、6月の中旬くらいにその結果が出る予定となっています。研究は、(後ほど講演されます)西修先生のご指導のもと14名で行ってきました。
 研究の目的は、平成28年3月に施行された平和安全法制は、より幅広い国際の平和と安全に資する活動の枠組みを構築しました。その活動の中には、未経験の分野、任務が多く含まれています。従いまして、我々研究グループは、新たに法制化された活動、業務に関する類似の活動の調査を行い、より実効性ある国際平和協力活動を行うための施策の検討、提言を行うこととしました。
 実態調査の内容としては、①過去我が国が行ってきた国際平和協力活動 ②過去及び現在国際社会で行われている類似の活動 ③国連・NATO等のPKO等に対する取り組み、の3点を重視して行ってきました。
 調査活動の概要については、聞き取り調査は18名の方々にお話を伺いました。2名の元陸上幕僚長、4 名のPKO部隊長、等の方々です。尚、匿名希望の方もいます。現職なので致し方ないと思っています。部隊等の訪問は5件です。ジブチ、モンゴルでの訓練を研修してきました。在日米陸軍司令部も訪問し、交戦規定(ROE)について説明を受けました。海外出張は7件です。国連本部に2回、アフリカに2回、オランダ、韓国、オーストラリアを訪問しました。協同開催ですがセミナーも1回実施しました。
 海外研修時の教訓については、海外を研修してきた研究員が常に報告するのは、訪問した各国とも「国際平和協力を積極的に行うことが、自国の平和と安全に寄与する」との方針を受け、その具現策を検討して実践していることでした。その方針等は第一線の指揮官まで徹底されていました。小さくとも、できることから着実にやっているということでした。私が訪問したオーストラリアも同じでした。