政策提言委員の小野田でございます。只今ご紹介いただきました通り、今年はJFSS設立20周年という節目の年でもあり、是非海外でセミナーをやろうじゃないかということで、実は一昨年ほど前から様々な下調整を行って参りました。JFSSには大使経験者や自衛隊幹部のOB、学者等々の人材がそろっておりますので、そういう伝手を活かし2月22日、ブリュッセルで、当初はベルギー王立の研究所であるエグモント研究所の快諾を得まして、着々と準備を進めていたのですが、その後の紆余曲折を経て、ベルギーにある2つの大学との共催で開催することができました。
このセミナーのそもそもの目的は、我が国が抱える領土や主権の問題に対する国際社会への広報が足りないという問題意識に根差すものであります。たまたまその問題意識と内閣官房の領土主権対策調整室との方向性が同じだということで、企画競争に参加した結果、幸いにして落札できましたので、内閣府の支援をいただき今般のブリュッセルにおける海外セミナーの開催に至ったというものであります。
共催相手は、ルーヴェン・カトリック大学(KUL)とブリュッセル自由大学(VUB)です。この2つの大学は世界の大学100の中に位置付けられている非常に優秀な大学です。我が国の領土問題を欧州諸国に発信するといっても非常に機微な話題ですから、タイトルを工夫して「東アジアにおける安全保障環境」というテーマにしました。セッションは2つに分けて前半は日本人のスピーカーから、竹島・尖閣の問題、中国の軍備拡張の影響といったことについて発信し、後半は欧州側からの見方について、欧州と米国からのパネリストから発信していただきました。そしてそこで互いに議論し、非常に大きな盛り上がりを見ることができました。時間的には約半日の開催でしたが、時間が足りずセミナー終了後に設けたランチタイムに食い込んで、各テーブルで活発な議論が展開されました。現地の皆さんからは、この種の、正に日本がこういうプレゼンスを示すような機会は本当に少ないので、ぜひ継続的に実施して欲しいという声も聞かれました。
第1セッションのモデレーターは、KULのディミトリ・ヴァンオーヴェルベーケ教授で、第2セッションのモデレーターは、VUBのルイス・シモン教授です。お二方とも日本について非常に詳しく、特にヴァンオーヴェルベーケ教授は日本留学のご経験もあり、流暢な日本語をお話になります。