令和に入って得意のレトリックも使えなくなった日本共産党

.

政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

惨敗しても、今後の躍進・前進の足がかり作った
 私は、今年7月に産経新聞出版から『日本共産党の最新レトリック』という本を上梓した。その「はじめに」で次のように指摘した。
 「この本のタイトルを『日本共産党の最新レトリック』にした。レトリックは巧言や美辞麗句を指す。その理由は、共産党の主張があまりにも牽強付会(けんきょうふかい:自分の都合のいいように、強引に理屈をこじつけること)なものが多いからだ」
 事実、この本は4月の統一地方選挙直後に書いたものだが、共産党は道府県議選、政令市議選、市区町村議選で123議席減らした。惨敗である。同時に行なわれた衆院大阪12区の補欠選挙では、比例で当選していた現職衆院議員を議員辞職させて無所属で立候補させるという奇策に打って出たが、最下位で供託金没収という惨めなものであった。
 普通なら意気消沈して、深刻な選挙総括をしなければならないところだ。他の普通の政党なら、執行部への責任追及の声が上がることは間違いない。
 ところが共産党という政党は、そんな“柔(やわ)な” 政党ではない。選挙直後の5月に行なわれた第6回中央委員会総会で志位和夫委員長は、次のように述べているのである。

 《 第一は、政治論戦の力に確信をもって、さらに発展させることであります。(中略)政治を変える希望と展望を語りました。わが党の訴えは、論戦全体をリードし、有権者の願いや関心にかみあい、共感を広げました》

 《 選挙後、都道府県委員長のみなさんから感想を寄せていただきましたが、それを読んでも、例外なくわが党が行った政治論戦についての確信が語られています》

 「論戦全体をリードし、有権者の願いや関心にかみあい、共感を広げ」たにも関わらず選挙に惨敗したというのだ。本来なら、“論戦をリード出来なかった。願いや関心に噛み合わなかった。共感を広げることが出来なかった” と言うべきだろう。「政治論戦の力に確信」など持てるわけがないのだ。
 さらに志位氏の話は続く。

 《第二は、統一地方選挙の結果を、「議席の後退」という面と、「今後の前進・躍進にむけた足がかりをつくった」という面の両面でリアルにとらえ、参院選のたたかいにのぞむことであります。総選挙比例票との比較で見ると、道府県議選では得票数で124%、得票率で154%、政令市議選では得票数で110%、得票率で132%、区市町村議選では得票数で92%、得票率で110% となりました。