日本共産党の二つの厄介事
―高齢化と中国共産党―

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 日本共産党が今年1月に第28回党大会を開催する。日本の他の政党は毎年党大会を開催するが、日本共産党は国際的な共産党の伝統に則り、ほぼ3年に1回開催する。党規約第19条でも「二年または三年のあいだに一回ひらく」と規定されている。この党大会が今年1月14日から18日までの5日間の日程で行なわれる。
 この党大会には、3つの議案が提案されることになっている。1つ目は、党綱領の一部改定案である。2つ目は、政治任務関する第一決議案である。3つ目は、党建設に関する第二決議案である。私も長い間共産党に籍を置いていたが、こういう提案の仕方は初めてである。普通は大会決議案と綱領改定があれば綱領改定案が提案される。政治任務と党建設を別々に提案するということは、私が在籍中にはなかった。
 ただこのことが何か特別の意味を持っているとは思えない。政治任務は小池晃書記局長が担当し、党建設は山下芳生副委員長が担当しているようだが、従来なら志位和夫幹部会委員長が1人で行なっていたが、小池、山下共に指導部としては一人前とは言えないので、2人で分担したと言うことだろう。
 
高齢者が主力の政党が共産党
 党建設というのは、共産党独得の言い方である。これには大きく分けて2つのことが含まれている。1つは党員を増やし、「しんぶん赤旗」の読者を増やして、党の勢力を大きくすることである。2つ目は、かつては「思想建設」という言葉を使っていたこともあるが、最近は「『量とともに質を』の立場をつらぬく。全党が、綱領学習と科学的社会主義の古典学習に取り組むことを、日常の気風とする」(第27回党大会決議)という言い方がされているように、党員の理論的・思想的強さを鍛えることである。
 少し横道にそれるが、「綱領学習」というのが何の矛盾もなしに使われているところが共産党らしさでもある。党の綱領というのは、共産党によれば全党の民主的討論を通じて、全党の英知を結集して作られたものということが建前になっている。それなのにその学習が大事だというのだ。何故か。全党での民主的討論などなされていないからだ。党大会の議案や綱領案も、せいぜい3割程度しか読んでいないのが実態なのだ。従って、民主的討論も、全党の英知の結集も不可能なのだ。現在の綱領は2004年に策定されたものだ。第27回大会は2017年に行なわれた。綱領策定後13年経っても、全党員が読んでもいないし、その内容を理解していないのだ。
 それでも党活動に特段の支障をきたさないというところに、この党の滑稽さがある。