中国で、武漢ウイルスの発生と 感染拡大の理由は
―新型肺炎を抑え込んでも、 消滅させられない汚染源―

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政策提言委員・軍事/情報戦略研究所長 西村金一

はじめに
 中国は、武漢ウイルス(中国は、中国の威信低下につながるこの用語を使用したくはないようだ、だが私は、敢えて使用する)を武漢から世界中にばら撒いた。世界の多くの人々の命を奪い、恐怖と混乱に陥れた。経済活動・社会活動・市民活動に重大な影響を与えた。習近平主席は、春節の前には、武漢ウイルス(以下、「ウイルス」)の感染について知っていた。中国国営通信でさえも、1月10日には、ウイルスによる感染と死者を発表していた。それでも、中国人が春節の休みを利用して海外の観光地を訪れることを止めなかった。中国は、自国で発生した新型肺炎を未然に防止すること、抑え込むことができず、また、国内に留めておくこともできず、ウイルスを全世界にばら撒いた。習近平はウイルスの感染から2ヵ月以上経過したが、ウイルスの感染拡大について「建国以来最も大きな公衆衛生の事件だ」と指摘したが、「中国人がウイルスを世界中にばら撒き、このウイルスが世界の人々を苦しめた」と、全世界に向かって謝罪してはいない。中国中央テレビの邱孟煌キャスターがSNSに「世界に向けてお辞儀をし、『すみません、迷惑を掛けました』と言わなければならないのではないか」と投稿した。中国は、邱キャスターの投稿の通りに、きちんと謝罪すべきだ思う。
 過去にも、中国が発生源となって、2002~03年のSARS、2005年から鳥インフルエンザH5N1型、2013年から鳥インフルエンザH7N9型が流行した。そして、多くの感染者と死者を出した。これらの感染が、大流行するようになったのは、2000年以降だ。中国式市場経済が成功を収めてきた一方で、汚染問題も顕著になってきた時期でもある。ただ単に蝙蝠や蛇を食したことが感染源だとすれば、2000年以前にも、今回のような事態が何度も起きていたはずだ。だが、起きてはいない。何故か。
 今回の新型肺炎では、中国政府の初期対応が悪かったとはいうものの、中国国内だけに、突出して多くの感染者や死者を出している。中国だけが特殊だ。以前の感染も主に中国が爆発的に感染している。これは、中国国内に発生と拡大の原因が潜んでいるからだろう。
 中国は、中華民族の偉大な復興の実現のために、海外に進出し、お金をちらつかせて、借金した国をがんじがらめに縛り、軍事力を強大化して、国境線を国外に向かって広げていった。一方では、環境整備などの国内整備には、必要な予算を付けず、その結果、汚染大国となって、汚染や病原菌をばら撒いている。