コロナ後を考えるのはまだ早い

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日本近現代史研究家 渡辺惣樹

 コロナウイルスを取り巻く「不可思議」さはあまりに多い。メディアの報道も首をかしげる内容が続く。本稿ではこの病を巡る不可思議さをいくつか挙げながら、この病禍を政治利用する勢力の存在にも言及する。ポストコロナを考えるのは、この病の実態がもう少し明らかになってからにしたいと思う。「コロナの病が『幽霊ならぬ枯れ尾花』に終わる可能性もある」とさえ思っている。
 
死因特定の難しさ
 2019年6月7日、厚生労働省が2018年度の人口動態統計月報年計を発表した。第1位の腫瘍(癌)、第2位の心疾患(高血圧除く)に次ぎ、「老衰」が日本人の死亡原因の第3位となった。脳血管疾患、肺炎がこれに続く。容易に想像できることだが、老衰が増えたのではない。統計データ集計の環境に変化があり、現場の医師が、死因を老衰に「仕分け」するケースが増えたのである。
 例えば、人生の終末期を迎えた老人が「誤嚥性肺炎」を起こし、その治療が施されればこれまではその死因は「肺炎」とされた。しかし、最近は回復が見込ない場合、積極的延命策を控える。この場合、死因は「老衰」とされるようになった(日経メディカル、2019年6月)。
 コロナ禍で知られるようになった人工呼吸器だが、その装着に体の切開が必要なだけに、痛みが伴い感染リスクも高い。従って生活の質(Quality Of Life: QOL)を考えれば使用しないという判断もあり得る。日本呼吸器学会は2017年4月に「成人肺炎診療ガイドライン」を発表し、QOLを考慮した治療の推奨に切り替えた。その結果、患者が穏やかに亡くなる「老衰」が増えた。
 老いた人間が、単一の病を原因として亡くなることは稀である。病の複合で死に至る。死亡診断書への死因の記入には公的機関が決めたガイドラインが存在する。ガイドラインが変われば医師の判断も変わる。極論すれば、「死因をある特定の病のせいにしたいベクトル」が存在すればそれも可能なのである。
 
絶望の民主党
 米国におけるコロナ禍の政治化は目を覆うばかりである。激しく左傾化した米民主党は、トランプ大統領再選阻止のためには手段を問わない。政治のモラル崩壊が起きている。
 民主党は、2016年の大統領選敗北以来、トランプ政権との妥協を一切拒否し、大統領の進める内政・外交のほぼ全てに反対してきた。それだけでなく、「ロシアゲート」、「ウクライナゲート」を創作し大統領弾劾を謀った。しかしすべて裏目に出た。