コロナ禍、日本の国家安全保障戦略・インテリジェンス・防衛政策を考える

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政策提言委員・政治評論家 田村重信

新型コロナ禍と時代の変化
 今回の新型コロナウイルスによる感染が、世界及び日本に猛威を振るっている。コロナの被害状況は、米国、ブラジル、インドなどの国が甚大で、世界全体に影響が出ているこの解決には、すべての国が協力し合って行かなければならない。1918年のスペイン風邪では、およそ5,000万人が死亡し、第一次世界大戦の戦死者1,600万人よりも多く、これが戦争を終結させたと言われている。その結果、国際協調路線が生まれ、国際連盟が発足した。今回のパンデミックも、短期的には、自国第一主義が燃え盛って国内回帰の動きになるが、人類が同じ課題に直面し、相互に協力していかなければならず、そうすれば国際協調とグローバル化の動きは加速されるであろう。
 新型コロナは、時代の変化を一気に加速させた。今回の日本の対応には何が遅れていたのか、欠けていたのか。その答えは、デジタル化、従来の働き方などを分析し、その対応策及び解決策を見出し、これを国家或いは個々の人々がそれを迅速に実行に移すことだ。これができない従来通りの日本であれば、国家として衰退していくことになる。国家が滅びるのは、外的要因でなく、内的要因が基にあるからだ。
 大きな環境変化に対し、どうすれば我々は生き残れるか。ダーウィンの「進化論」には、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」とある。今、日本に必要なのは環境に適応した変化なのではないか。
 
国家戦略とはなにか
 これから日本は、国家戦略をどのように考えたら良いのか?国家戦略とは、「軍事に限らず、官庁や企業、大学など各組織が、国家と国民の将来を見つめ、長期的な運営の方策や目標を達成するシナリオ」である。様々な問題を国家、国民のために、現状はどうなっているのか、これからの将来をどうすべきか、そこを考えるのが国家戦略である。
 
「見えざる革命」
 「見えざる革命」とは、ピーター・ドラッカーが言った言葉である。ドラッカーが、1976年6月に翻訳本として出版された本のタイトルが『見えざる革命』である。この本は、アメリカ経済の年金基金の2つの問題を論じている。1つ目は、年金が株式におけるシェアが非常に大きくなり、年金の登場の背景と人口構造が変化することをどう捉えるかということ。
 2つ目は、日本語版への序文で、日本 経済がうまくいった理由を、「言い換えれば、日本における生産性の向上のかなりの部分が、就業者人口の構造変化によっているということである。