日本共産党を含む野党共闘のもろさ

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政策提言委員・元参議院議員 筆坂秀世

 今年は衆院解散か、任期満了かは分からないが、必ず衆院選挙が行われる。菅義偉政権の支持率は、後手続きのコロナ対策、殆ど説明責任を果たさない菅首相のまずい対応もあって大きく低下している。緊急事態宣言再延長の際、「総理の責任は」と記者に問われて、《いずれにしろ専門家の意見を踏まえて…》と答えたのには、失笑するしかなかった。
 こんな頼りない政権だからといって野党が、今度の選挙で本当に政権交代を果たす力を持っているのか。NHKが5月に行った世論調査では、自民党33.7%、立憲民主党5.8%、公明党2.9%、日本維新の会1.6%、共産党3.1%、国民民主党0.6%、社民党0.2%、れいわ新選組0.3%、NHK受信料を支払わない方法を教える党0.2%、「特に支持している政党はない」が43.8%となっている。
 世論調査を見る限り、野党にとっては厳しい選挙にならざるを得ない。野党は一体どういう手立てで衆院選挙に臨もうとしているのか。日本共産党を含む野党共闘は、本当に出来るのだろうか。
 
立憲民主党と共産党の対談本の出版が延期に
 立憲民主党、日本共産党の国会議員がそれぞれ4人ずつ登場して4組の対談を行い、1冊の本にまとめて出版するという企画が進められていたそうだ。本のタイトルは『政権交代で日本をアップデートする』というもので6月18日に大月書店から出版される予定であった。ところが日本共産党に批判的な立憲民主党の支持団体労組の連合から、「共産と一緒に本を出すことが、我々や支持者からどう見えるのか」と出版を問題視する声が上がり、出版が急遽延期になったということだ。
 大月書店というのは、もともとマルクス、エンゲルス、レーニン、スターリン、毛沢東など世界の共産党の指導者の本を出版してきた出版社だった。日本共産党前中央委員会議長の不破哲三氏の著書も数冊出版されている。元々共産党と関わりの深い出版社である。何故このような出版社からの出版という話になったのかも不思議である。立憲民主党は出来たての政党であり組織や運営も未熟なので、どんな出版社なのか調べもしていなかったのだろう。それどころか、この企画が立憲民主党の中で承認されていたのかどうかも怪しいものだ。
 同社のホームページには、「2021年6月刊行予定で『政権交代で日本をアップデートする』の準備を進めてきましたが、諸般の事情により刊行を延期いたします。刊行時期は改めてご案内申し上げます。」とあるが、恐らく日の目を見ることはないだろう。