中国共産党とその敵
―百年史でのアメリカとのかかわり―

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顧問・麗澤大学特別教授 古森義久

北京とワシントンからの視座
 中国共産党は2021年7月1日、結党100周年を祝った。 
 1921年7月、上海のフランス租界の小さな家で、そして川の上の小さな船で、毛沢東はじめ十数人が秘密裡に集まり、新たな政党の結成を宣言した。それからちょうど100年である。その政党はいまや中華人民共和国として中国全土14億人もの国民を統治する。政党が即ち、国家なのである。対外的にも中国共産党政権は世界第2の経済大国、そしてアメリカに迫る軍事強国として膨張し、既存の国際秩序を揺るがす。
 私自身、この中国共産党政権とは少なくとも4分の1世紀、直接間接に触れて、その動きを考察してきた。新聞記者として、さらには研究者として、中国に実際に住んだ時期を含めてこの中国ウォッチは継続して25年ほどとなる。
 中国の動きにジャーナリストとして初めて直接に関わったのは1997年7月、香港返還の際だった。香港での取材で中国側の当事者多数と顔を合わせ、その言動を目撃した。その翌年からは産経新聞中国総局長として北京に駐在した。
 以後の歳月は主としてアメリカの首都ワシントンを拠点に、中国の動向を追ってきた。この間も中国側の多様な人物、或いは多様な政策に触れてきた。こうした自分の中国観察体験を踏まえ、中国共産党の長い歴史のうち、そのアメリカとの関係に光を当ててみたい。中国共産党が100年の歴史でアメリカをどう位置付け、どう関わってきたのか、の論考である。
 同時にこの考察では当然ながらアメリカが中国共産党にどのように関与し、どう敵対し、競合してきたのか、という諸点を報告したい。
 前述のように長い年月、アメリカの首都ワシントンを拠点に米中関係を追ってきたという自分自身の視座からすれば、「中国共産党の100年の歴史を振り返る」という巨大なテーマでも、同共産党とアメリカとの関わりに焦点を絞っての論考が私としては最も適切だと思えるからである。
 
やはり最大の敵はアメリカ
 結党からの100年目の中国共産党にとって、現在の最大の敵はアメリカであることは明白だろう。アメリカも中国を最大の競合相手、潜在的な敵とみて対決の構えを辞さない。
 トランプ前政権からバイデン現政権にかけて、米中対立は鮮明となった。中国がアメリカ主導の戦後の国際秩序を覆すかのようにアメリカにチャレンジする構図も明確である。