近現代史と国際政治は連動する
欧米諸国では近年、第二次世界大戦を中心とする近現代史の見直しが進んでいる。
第二次世界大戦においてアメリカとソ連は「正義の国」であり、日本は侵略を行った「悪い国」だとされてきたが、果たして本当にそうだったのか、新たな事実が判明し、見直さざるを得なくなってきているのだ。
私は永田町で政治家の政策スタッフ、具体的には外交、安全保障、インテリジェンスに関する政策研究と立案を担当してきた。そして国際社会の動きを理解するためには、近現代史をある程度、知っておかなければならないことを何度となく痛感させられた。
「第二次世界大戦で悪いことをした日本は国際社会から嫌われており、日本は軍事的に弱い方がいいのだ」と受け止めて国際政治を見るのか、それとも「第二次世界大戦も実はいろいろな要因があって、必ずしも日本だけが悪かったわけではない。寧ろ日本にも評価すべき点があり、日本はインド太平洋の安定にために相応の役割を果たすべきだ」と考えて国際政治を見るのかでは全く見えてくる世界も、対外政策も異なってくる。
第二次安倍晋三政権が「自由で開かれたインド太平洋構想」といって、自由と民主主義、法の支配といった価値観に基づいてインド太平洋諸国と連携しようという国家戦略を打ち出した。かつてならば、国際社会から「大東亜共栄圏の復活」などと、過去を持ち出されて非難を受けたに違いない。
しかし、実際は非難されるどころか、日本のこの国家戦略に呼応して、第二次世界大戦当時、敵国であった米、豪、英、仏などが日本との共同軍事訓練を実施するようになった。
インドやASEAN諸国とも軍事訓練を頻繁に行うようになり、外交や経済だけでなく、軍事面でも日本は欧米やアジア諸国との関係を強めている。
日本は戦後、「第二次世界大戦で悪いことをしたので、永遠に軍事的な動きをすべきではない」と言われてきた。しかし敵国であったアメリカもイギリスもフランスもオランダも今やインド太平洋地域に軍艦や戦闘機を送り、日本とともに共同訓練を実施している。それは欧米各国が、日本と軍事協力を進めることがインド太平洋諸国の平和と安定に繋がると考えているからだ。日本が軍事的に強くなることがインド太平洋の平和に繋がると考えてくれている。
いつの間にこうした国際状況になったのか。