選挙前は自信満々だった両党
昨秋の衆院選挙前、立憲民主党も共産党も意気軒昂だった。議席を減らすことなど微塵も考えていなかったはずだ。
共産党は選挙前の9月に総選挙での勝利に向けて第3回中央委員会総会を招集し、そこで志位和夫委員長は次のように発言していた。
《第1は、市民と野党の共闘の力で、自民党・公明党とその最悪の補完勢力=維新の会を少数に追い込み、政権交代を実現し、新しい政権――野党連合政権をつくることです。
第2は、「比例を軸に」をつらぬき、比例代表選挙で「850万票、15%以上」の得票を獲得し、全国11の比例ブロックのすべてで議席獲得、議席増を実現するとともに、小選挙区でも議席大幅増を果たし、日本共産党の躍進を実現することです》
2つの大目標を掲げていたのだ。言うのは勝手だとは言え、よくぞここまでの大口を叩いたものだ。結果はどうだったか。自民党は若干減らしたが、選挙前の予想からすれば大善戦だった。公明党も議席数を伸ばした。維新の会に至っては4倍近くも議席を増やした。共産党なら狂喜乱舞するほどの大躍進だった。国民民主党も、れいわ新選組も増やした。減らしたのは立憲民主党と共産党だけだった。
比例で850万票獲得すると豪語していたが、結果はその半分にも満たない416万票だった。共産党の志位委員長は、自らの責任を問われたことに対して、「責任はないと考える」と言下に否定した。その理由として、「わが党では、政治責任を取らなければならないのは間違った政治方針を取った場合だ。今度の選挙では、党の対応でも、共闘でも政策でも、方針そのものは正確だったと確信を持っている」ともっともらしく説明した。
では方針は正確だったのに、何故負けたのか。そもそも共産党のトップが選挙で負けて責任をとったことは一度もない。宮本顕治氏の場合も、不破哲三氏の場合もそうだった。この数十年、共産党の政治方針は一度も間違ってなかったと強弁するつもりだろうか。日本共産党は、今年党創立100周年を迎える。それが未だに衆議院で一桁の議席しか取れないのだとすれば、共産党の方針が根本から誤っているということではないのか。
共産党の方針そのものが間違っていた
共産党は、未だに気が付いていないようだが、大方針そのものが間違っていたのだ。2021年11月13日付朝日新聞の天声人語欄に、次のような指摘がなされている。「衆院選でおきゅうをすえられたのは、与党ではなく、共闘した野党だったかもしれない。