「ウクライナ侵攻の背景」
―民間多国籍調査チームによる現場情報分析の視点から―

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ジャーナリスト 野田敬司

 2022年2月24日、ロシア軍が一斉にウクライナに侵攻、それに対して西側諸国は強く反発した。今回のロシアによるウクライナ侵攻は「力による現状変更」そのものであり、決して容認できるものではない。一方、今回の戦争では、西側諸国とロシアの間の情報戦、心理戦、世論戦が大規模に行われているが、大手マスコミを通じて我々日本国民に届く情報は、西側大手マスコミからのそれだけであり、それらは「自国を守ろうとする勇敢なウクライナの一般市民」「国民のために立ち上がった英雄ゼレンスキー大統領」「ついに狂ってしまったプーチン」「各地で敗北するロシア軍」といった、意図的に単純化された戦争プロパガンダのにおいが強く、我々を特定の方向に誘導しているように見える。
 因みに筆者は、今回のウクライナ危機が高まった時点で、海外の元民間軍事会社社員や元軍人のみならず、現地及び周辺国の協力者や情報源を含む多国籍の調査分析チームを独自に編成し、戦争開始直前にはそれらを現地に投入して情報収集を行なっている。
 ウクライナ内外で収集した膨大な情報の中には、目を覆いたくなるようなおぞましい今日のウクライナのもう一つの素顔が含まれる。しかし、日本でその残酷な映像を見ることはない。
 一方、日本政府はウクライナの要請に応じ、防弾チョッキやヘルメット等の防衛装備品支援を決定。3月8日、第1陣が航空自衛隊の輸送機でポーランドに向け出発した。
 また、ウクライナ政府が世界中に義勇兵の参加を広く呼びかけたことで、日本からも約70人の参加希望者があったと言う。これについて多くの保守系識者は強い賛意を示し、自民党の国防部会でも、「義勇兵を止めるべきではない」という発言があった。
 しかし、これらの支援は日本の将来の安全保障に大きなリスクを与えることになりはしまいか、その代償はいつか我々国民に降り掛かってくるのではないかと危惧するのである。
 以下、その理由を紹介したい。ネオナチ勢力が跋扈する腐敗国家 ウクライナは世界でも有数の、そして間違いなく「欧州でもっとも腐敗した国家」(英「ガーディアン」紙)だと言われている。
 ウクライナは、一応は民主的に選ばれた親露派のヤヌコヴィッチ大統領が2014年の「マイダン革命」で打倒されて以降、現在までナチスを支持する極右・白人至上主義勢力の「ネオナチ」が強い影響力を持つ国になった。