故葛西さんを悼む

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会長・政治評論家 屋山太郎

 旧国鉄の分割・民営化を成し遂げた葛西敬之氏が5月、81歳で亡くなられた。心からのお悔やみを申し上げる。葛西氏には長きに亘り本フォーラムの副会長もお努めいただいたが、私にとっては生涯の同志である。
 国賊のようだと思っていた国鉄使用者側に改革派が居るという。密かに会って話すと彼の真情が分かってきた。当時の改革の心臓部は中曽根康弘首相、瀬島龍三氏らだから、うっかりスパイみたいな人物を味方に引き入れるわけにはいかない。吟味が大変だったが、ほぼ全員が「信用できる」と保証するのである。葛西氏の発想はいつも奇想天外だった。「ここを突破するには総裁のクビを取ってからじゃないとできませんよ」。彼の言が信じられるから、私は中曽根首相に進言した。瀬島氏にもお伺いを立てたところ、「病巣を取り除くには、周囲もごっそり切れ」と言う。人事こそ権力の使い方の難しさだと悟った。