御臨席の皆様、こんにちは。台北駐日經濟文化代表處代表の謝長廷と申します。
まず、最近日本政府が日米首脳会談やG7首脳会議など多くの国際会合の場で、台湾海峡の安定と平和の重要性を表明されたことに心から感謝致します。ロシアとウクライナの戦争が発生し、中国による台湾への武力侵攻の可能性がより一層国際的に注目されるようになりました。また、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)は、米上院軍事委員会の公聴会で、中国共産党が6年以内に台湾に武力行使する恐れがあると警鐘を鳴らしました。「台湾有事」は最早ただの概念ではなく、起こり得る可能性が高い現実的な問題と言えます。
日本の最近の世論調査によると、約80%の日本人が、ロシアによるウクライナ侵攻が中国による台湾侵攻に波及するのではないかと心配しています。
また、一部のメディアは、ウクライナを台湾に、ロシアを中国に置き換えて「今日のウクナイナは明日の台湾」と結論付けました。
今回の有事から見て、ウクライナと台湾には確かによく似た5つの共通点があることが分かります。
1.台湾とウクライナは、国家の統一や民族の復興を訴えて国民を団結させようとする強権主義と向き合っている。
2.プーチンと習近平は、長く権力の座に居座り、自分の功績や歴史的地位を築こうとしている。
3.ロシア・中国は、ともに力の信奉者であり、武力による一方的な現状変更を試みている。
4.ロシア・中国は、ともに国連安全保障理事会の常任理事国として拒否権を持ち、国連の決議を遵守せず、国際裁判所の判決にも従おうとしない。
5.ロシア・中国は、ともに核兵器を保有しており、ウクライナ・台湾は持っていない。
台湾にとり、ロシアによるウクライナ侵略は決して他人事ではなく、台湾は様々な方法でウクライナを全力で支援しました。台湾は民主主義国家としてロシアに対する制裁に参加し、日本と同様にロシアの非友好国リストに加えられました。また、台湾は民間の呼びかけで約30億円の義捐金と約650トンの物資をウクライナと周辺国に寄贈しました。
台湾政府と国民の警戒心が高まり、自由と民主主義を守るために戦う決意と代ととなったのです。高性能武器を購入し、国防予算を増額することについては、いずれも大きな反対はなく、さらには既に廃止された徴兵制についても70%以上の国民が復活を支持しており、政府も検討しています。