習近平の1強、独裁体制が完成とは…
中国共産党は2022年10月23日、第20期中央委員会第1回全体会議(1中全会)を開き、最高指導部を構成する党政治局常務委員を選出した。習近平は総書記に異例の3選となった。1中全会で決まった党最高指導部である政治局常務委員会は、これまでと同じ7人体制となった。習に加え、李強・上海市党委書記(63、新)、趙楽際氏(65、再)、王滬寧(おうこねい)氏(67、再)、蔡奇(さいき)・北京市党委書記(66、新)、丁薛祥(ていせっしょう)・党中央弁公庁主任(60、新)、李希・広東省党委書記(66、新)が選出された。反腐敗闘争を主導する党中央規律検査委員会書記には李希氏が就任した。
李克強首相の後任には李強が就く見込みである。最高指導部は習近平と関係が深い人物で占められ、習への権力の集中が人事にも反映された。次世代のリーダー候補も指導部入りしていないため、5年後も習が引き続きトップを続ける可能性があるという指摘もある。
この中国共産党の習3期目という出来事に対して、産経新聞2022年11月6日付に興味深いコラムが掲載されていた。岡本隆司京都府立大学教授の「新聞に喝!」というコラムだ。タイトルは「習体制『一強』『独裁』の『完成』とは?」となっている。その一部を紹介する。
《「習氏の独裁完成」(産経)、「習氏1強が完成 新体制」(朝日)、「習指導部側近重用」(毎日)「『習派』指導部固める」(読売)、「習氏3期目、長期政権入り」(日経)。これらは24日の各紙1面にあった見出しだが、論調・趣旨は筆致に程度の差こそあれ、おおむねどこも同じだった。あまのじゃくの筆者には、横並びが気に入らない。なぜそうなるのか、のほうに興味をそそられる。》
このあと2022年は国交正常化50周年で「友好」であって欲しいという願望はあったが、「決して『友好』ではなかった事実は明白である」ことや、中国の不動産バブルの崩壊で中国崩壊論が広がったが、「慧眼(けいがん)の向きはつとに、中国崩壊論が崩壊した、と揶揄(やゆ)していた」ことなどを指摘し、不透明感の多い中国報道は正確を期しがたいが、「せっかく記事にするなら、その見えにくさもふくめ、彼我の対象・認識を長い目で解析すべきではないか」と述べ、次のように指摘している。
《中国の政体は、独裁こそ史上の通例である。それならいわゆる「完成」以前の「体制」はどうだったのか。なぜ「完成」をめざしたのか。そこを紋切り型の「権力闘争」や「派閥」で説明されても違和感は残る。》