防衛3文書の意義と課題

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千葉科学大学教授 佐藤庫八

はじめに
 日本政府は、国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画、所謂「防衛3文書」を令和4年12月16日に閣議決定しました。
 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しているとの認識のもと、脅威対抗論を前面に出した安全保障戦略を打ち出したのです。特に防衛力の抜本的な強化を目指す7つの目標、令和9年度に予算水準をGDPの2%にすること、防衛力そのものとして防衛生産・技術基盤の強化は、従来にない考え方に基づいて策定されています。
 以下、3文書を概観し、同文書の意義と課題について述べます。
 
1. 国家安全保障戦略等の概要
 防衛3文書の本文及びそれらの文書の概要は、内閣官房のホームページにアップされています。以下、概要を活用しながら、3文書のポイントを整理して全体像を掴むこととします。
 1.1新たな国家防衛戦略の体系今回定められた3文書の体系は下記の通りです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1.2 構成
 国家安全保障と国家防衛戦略の目次は次の通りです。下線の項目は、1.3において要約整理するものです。今回の3文書は、縦と横の関係がよく整理されています。