2023年3月23日、ジャーナリストの松田隆氏は、インターネット・メディアである令和電子瓦版に「小西洋之政治資金の謎」(1回から5回の連載記事)を寄稿した。この記事がきっかけとなり、東京都港区西麻布2丁目2番1号に本店登記された麻布食品株式会社(麻はまだれに𣏟:以下、「麻布食品」)に注目が集まった。この掲載記事は、松田氏が小西洋之参議院議員から提訴され、「今回の連載もいったん締めさせていただく」ことになってしまった。
麻布食品の本店所在地が、河野太郎デジタル担当大臣の実弟である河野二郎氏が代表取締役を務める恵比寿興業株式会社、日本端子株式会社関東支社と同一の本店所在地である。
かねてより筆者は、河野ファミリー周辺の"カネの動き"に注目していた。そこで、松田氏とは別のルートで独自に、公開資料に基づき麻布食品について調べてみたところ、以下の事実が明らかになった。
平成17年5月に買収か
麻布食品は、昭和48年4月11日に設立された。設立当初の取締役や監査役に関する記録は、法務局が設立謄本を廃棄していたので入手することができない。設立者は判らないが、「麻」の字が、「まだれに𣏟」であることには、強い違和感を覚える。というのも、「まだれに𣏟」は、我が国の漢字には存在していないからだ。中国で使用されている文字という指摘もある。法務局は、我が国に存在しない当該文字のまま、設立登記手続きを済ませている。設立場所は、東京都港区麻布飯倉町3丁目23番地。(現在の東京都港区西麻布2丁目2番1号)である。つまり、麻布食品は、設立当初から麻布台ビルに存在し、他所から移転してきたのではないことは閉鎖事項全部証明書(閉鎖謄本)から明らかだ。
本稿執筆時点で、入手可能な閉鎖謄本からは、昭和57年の定時株主総会で、河原正三代表取締役、相澤博取締役、木村秀夫取締役、木村哲郎監査役の経営体制が承認されたことが分かる。昭和57年から平成17年までの記録を見ると、代表取締役は、青崎匡勝、根本和夫、稲葉四郎が、取締役は相澤博、木村秀夫、鈴木恒夫、木村哲郎、山崎正純、宗五復、万木嘉夫、大江一夫、加藤和裕が選任されている。事業の目的は表1の通りで、食料品や日用品の輸出入などを行っていたと思われる。
会社に転機が訪れたのは、平成17年5月に行われた株主総会だ。この総会で麻布食品の経営陣が一新された。