G7広島サミットを振り返る
―抑圧されている民族の視点から―

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日本ウイグル協会理事 サウト・モハメド

 5月19日から21日、先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)が広島で開催され、平和の街とされる広島に世界の注目が集まった。中国はG7加盟国ではないが、経済力の上昇によって自己の主張を強要し、力による一方的な現状変更を試み、法の支配や国際秩序を無視し、ウイグルをはじめ各民族を弾圧してきたことによって、中国問題はウクライナ侵攻を行っているロシアに次ぎ、首脳会議の2番目の主要な議題となった。
 
1、各民族の動き
 中国共産党に弾圧されている諸民族は、G7広島サミットで中国の人権問題を訴える必要があるとし、ウイグル、チベット、南モンゴル、香港などの組織が連携し、G7広島サミットに向けて一連の活動を行った。
 サミット開催1ヵ月前の4月19日、各民族団体が衆議院会館で共同記者会見を行い、「G7広島サミットを前に、中国の圧政下にある諸民族による共同声明」を発表した。共同声明は4月19日付『産経新聞』に全文掲載された。また記者会見では、「日本ウイグル国会議員連盟」並びに「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」事務局長の三ッ林裕巳衆議院議員に、岸田政権への要望書を提出した。英訳された同要望書はG7関係国の大使館や駐日欧州連合代表部に送付された。
 ゴールデンウィーク明けの5月8日、「日本ウイグル国会議員連盟」会長、並びに「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」会長の古屋庄司衆議院議員、「日本チベット国会議員連盟」会長の下村博文衆議院議員らによって、「G7広島サミットを前に、ウイグル・ジェノサイドをはじめとする中国の深刻な人権侵害状況の改善に向けた取り組みの要望」が松野官房長官に提出された。本要望書には、マグニツキー法の制定、強制労働と関係のある製品の輸入規制、人権侵害に悪用される技術の輸出規制に関する法整備、ジェノサイドや深刻な人権侵害の即時停止、(日本人を含む)不当に拘束されている人々の即時釈放などの内容が含まれている。つまり、中国に抑圧されている各民族は、G7各国首脳に、ウイグル人、チベット人、南モンゴル人、香港人に対するジェノサイドや深刻な人権侵害を終わらせる為に具体的な行動を求めた。
 G7に対して、市民の視点から政策提言を行うC7(Civil7)サミットというのがある。G7サミットに合わせて、市民社会組織が議長国に集まって、C7サミットを開催してきた。